リハビリテーションと東洋医学

『授業を終えての感想』ご紹介


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始めに

【リハビリテーション学科学生の東洋医学に対する感想】

山形県立保健医療短期大学(現在:山形県立保健医療大学)で、病院実習を終えたばかりのリハビリテーション学科(理学療法学科、作業療法学科)の学生を対象にした、東洋医学概論の講義(30時間)を担当して3年目になります。

学生に東洋医学的な考え方を紹介した見返りに、学生からリハビリテーションの中での東洋医学的な考え方の活用法について多くのアドバイスをいただきました。

今後とも東洋医学を含めたチーム医療実現のために、より多くの医療職種の学生、先生方と東洋医学をテーマとして交流を行っていきたいと思っています。

中医学研究部 部長 兵頭明 

 
1〜6
7〜12
13〜17

01.07(3)

13−17

 



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i.はじめに
 私は、東洋医学の講義を受講する前から、指圧などに興味を持っており、自分なりにテレビや本などを見てツボを刺激したりしていたので、教科選択の時点で、東洋医学概論は、是非受講したいと強く思い、講義をとても楽しみにしていました。しかし、私達が目指す理学療法士が行うリハビリテーションと東洋医学との関連は分からずにいました。
今回、わずかな限られた時間とはいえ、初めて東洋医学という学問に触れてみて、自分なりにリハビリテーションと東洋医学との関連について考えてみたので、受講しての感想をふまえて以下に述べます。

ii.リハビリテーションに東洋医学を活用していく可能性について
 受講して一番心に残っている事といえば、舌の色や形、苔の色、状態などを診察する事によりその人の健康状態がだいたい分かる、という事です。風邪をひいたりして医者にかかると、聴診器を当てた後に必ず舌の診察をするのは知っていましたが、何のためかは分からず、ただ、舌が白っぽいと胃の調子が悪い証拠だ、と何の疑問ももたずに思いこんでいました。しかし、内科での舌の診察も健康状態をみるためだったのだ、という事と、胃の調子だけではなく、体全体の状態を予測する事がが可能だという事を知る事ができました。また、単に舌とはいえ、健常人でも全く同じような舌をしている人は見かけられず、個人によって多種多様である事も分かりました。
リハビリテーションを行うにあたり、患者さんの体調を把握しておく事は重要な事とされています。様々な疾患を持った患者さんは、日一日と体調の変化が目まぐるしく、それを把握しておく重要性は、病院実習の際に実感させられました。
体調を把握するために、毎日カルテに目を通したり、患者さん本人や担当医、看護婦さんに様子を訪ねたり、バイタルサインを確認したりという事は行っていましたが、駅伝で好成績を残したチームでの選手を選択する基準の一つに、舌の状態を診察する事がある、というように、患者さんの健康状態を把握する際にも、舌の診察についての知識があったなら、より健康状態を把握しやすいのではないかと考えました。駅伝の選手の選抜といった所でも活用されているという事には、驚かせらたとともに、その信頼性を感じました。
 また、五行スコアの一覧が知識として身についていれば、患者さんとの会話の中で質問したりして、健康状態を確認する事も可能になるのではないかと考えました。五行スコアは、最初目にした時、ただ漢字がたくさん載っているだけで、どういう順番でならんでいるのか全く見当もつきませんでしたが、講義を受けていくに従い、少しずつ理解していき、良くできているなあ、これを考えた人はすごい、と驚きました。また、自覚症状に当てはまる部分をたどっていくと、弱っている部分が一目でわかり、そこに関係するツボを刺激する事で症状を軽くできるというのもいいと思いました。
その他には、痙性が強い患者さんの痙性を一気に取り除くツボがある事にも驚きました。私も実際にその部分を先生に刺激してもらい、あまりの痛さに声を失いましたが、自然に力が抜けていくのを実感し、リハビリはいらないのではないかとさえ思ってしまうほどでした。実際、臨床の現場でも行う事ができたらいいなとは思いますが、私には使用できるとは思っていません。しかし、知識の一つとして覚えておこうと思います。

iii.おわりに
 リハビリテーションと東洋医学を活用していく可能性について、私に思い浮かぶ事はこの程度ですが、どちらの分野にせよ相手が患者さんである事に変りはありません。東洋医学に限らず、様々な分野についての知識を持っていれば、何かと役に立っ事は多いと思います。

 今は、自分の目の前にある事で精一杯で、いろいろな分野に手を出したくとも出せない状態ですが、いつか機会があったら、東洋医学についてもう一歩踏み込んだところまで、勉強してみたいと思います。そして、その他のいろいろな分野にも興味を持ち、幅広い知識を身につけて、理学療法士としても、人間としても成長できたらいいと思っています。
 今回、東洋医学概論を受講してみて、ツボって一体何なんだろう、という素朴な疑問から、東洋医学の素晴らしさみたいなものを、自分なりに理解する事ができました。また、五行スコアや種(王不留行)などまで頂き、嬉しく思います。
 今まで、あまり自分の健康管理には気をつかってはいませんでしたが、今後は気を付け、邪気をよせつけないような、充実した気の持ち主を目指していきたいと思います。



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今回東洋医学の講義を聞く機会があり、理学療法(西洋医学)とは色々と異なった部分がありとても勉強になりました。今までは東洋医学と聞くと何か怪しいというイメージだったのですが、今回のこの講義で色々な考えにもと徒手評価・治療を行っていくのを知り、今までのイメージが無くなりました。また、少しではありますが東洋医学というものの奥ゆかしさを知りました。そこでこの東洋医学をリハビリテーションに活用はできないかということについて考察したので述べていきたい。

 東洋医学は、何千年と変化をしないもので、基本は陰陽のバランス、生命力で身体の仕組みを3つ(気・形・経絡)に分け、どこがどうなっているの知り治療を行う診断即治である。評価は、肝・心・脾・肺・腎の5つを見る五行スコア表や舌の色・形・苔の生え具合などを観察するものがある。
 西洋医学の概念が東洋医学の観念とは異なっているが、患者を治療していくという点では同じなために併用して治療していくことが可能と思われる。問診時に自分では訴えがなくても、自分が自発して感じなくても身体が発している反応を五行スコアなり舌の観察で知ることができるので、様々な疾患のリハビリテーション時の評価や治療に活用が出来ると思う。(例えば、脳卒中で運動性失語を合併している患者には、舌を観察することによって患者の状態を把握することができる。)
 治療もビデオで見たが片麻痺の弛緩麻痺を鍼で随意収縮を引き出せるを見たとき、もしこのような事ができるのであれば、理学療法と併用してリハビリを行うと訓練期間が短縮できてとても有効ではないかと思われる。
 考えが違えども西洋医学と東洋医学を両方取り入れた理学療法士になって行きたい。

 その為にまだまだ勉強をしていかなくては行けないと思う。



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 「東洋医学概論」という授業を通して,今までおぼろげでよくわからなかった東洋医学の考え方に多少なりとも触れることができた.東洋医学というと鍼や灸,漢方薬といったテクニックばかりを考えがちであったが,その根底にある考え方の基盤について知ることができた.そこで今回は,東洋医学を我々が学び関わって行くリハビリテーションにどう結び付けて活用して行けるかについて考えてみようと思う.

 「リハビリテーション」という言葉の理解については,医療従事者とそのような教育を受けていない方々とでは多少違いがあるように思われる.医療従事者の場合,「リハビリテーション」といえば患者を取り巻く全ての環境をイメージする(と教育されることが多いのでは?)が,医療の教育を受けていない方々の場合,いわゆる病院で行われている「リハビリ(ベッドサイド・理学療法・作業療法・言語療法など)」だけをイメージするのではないだろうか.このような認識のズレは,病院自体にもその原因があり,「リハビリテーション科」という標榜や,「リハビリがんばってね」という医師や看護婦の言葉がその際たるものであろう.

 今回の授業を適して東洋医学の基礎的な考え方に触れることができたわけだが,授業後にまず感じたことは,東洋医学の方が西洋医学(我々が携わって行く理学療法も含めて)に比べて,より人間の生活場面に近づいているのではないかということだった.参考図書によれば,「東洋医学の基礎理論は古代中国人の自然観から生れた.日向を陽,日陰を陰と認識した二元論がその出発点である.人体や病態を陰陽に分類し,陰陽の対立と統一による動的平衡状態からの逸脱を疾病と考える.」とある.私が感じた東洋医学への親近感(と表現していいのか)は,このように人間の生活場面である自然を出発点とするためなのだろうか.

 したがって,前述のようにリハビリテーションが患者を取り巻く環境全てであることとすれば,いわば「生活の知恵」といったスタンスで人間の生活に取り入れて行くことが一つの方法だろう.舌の状態や汗の状態などは特別な手技などは必要ではなく(判断基準は必要だが)相手と接して会話しながらでも簡単に健康チェックができてしまう.また,五行之色体表を用いれば食生活にも関与することができてしまう.毎日飲むお茶を自分の症状に適切な漢方薬にすることで治療にもなってしまう.このように,病院以外のところで十分に東洋医学を活用して行くことはできそうである

 理学療法士の立場で考えてみると,授業でもお話があったようにツボを利用することが自分としては比較的簡単にできそうな気がしている.片麻痺患者の固く握った手を開くツボを教えていただいたし,その他にも疲労回復のツボや疼痛を抑えるツボがあれば訓練を進める上で非常に役に立つものであろう.さらに,患者とのやり取り(会話)の中で,・・東洋医学の知識をモチべ−ションの向上や患者の状態把握に用いることはできないだろうか.どうしてもモチベーションの低いときや本当に体調の良くないときというのは必ずあり,それをセラピストが理解してくれないというのは患者にとってはつらいことであろう.このようなときに,患者の状態を把握する手段として東洋医学的な知識を活用することはできないだろうか.「この先生は自分のことをわかってくれているんだな」と患者に思ってもらうことで信頼関係を築くこともできよう.

 また,ビデオで見せていただいた醒脳開竅法には驚かされた.正直に言えば,理学療法士の仕事がいらなくなるのではとさえ感じられた.しかし,理学療法士があの現場にいて直後に何らかの訓練に移れたとしたらどんな効果が得られるのだろうかと,非常に楽しみになってきた.一度,自分の目でその治療現場を見てみたいと思った.

 私はスポーツ現場(特にサッカー)において理学療法士として働くことが目標で,ジュビロ磐田と名古屋グランパスに理学療法士の見学に行ったことがある.このとき,ジュビロ磐田では,鍼灸師の方が医療スタッフに加わっていた.そのときも「気の流れ」といったことを言われた記憶があるが,当時はよくわからずにお話を聞いていた.仕事としては鍼や灸の処方がメインに行われていたように記憶している.理学療法士の方が言っておられたことだが,それぞれの役職がどちらの方が良いという考え方をせずにお互いの良い部分を認めて尊重し合っているので関係はうまくいっているとのことだった.東洋医学と西洋医学がうまく共存している一例と言えるのではないだろうか.

 3日間の講義だったが,その中で兵頭先生の話術にはぐいぐいと引き込まれ,眠くなることなくお話を聞くことができた.兵頭先生を囲んでの懇親会も非常に楽しかった.今回の講義で腹部に鍼を施していただけたことは大変光栄である(本当は怖くて震えていたが…).また,就職してからも東洋医学を自分の仕事に活用する方法を考えて行きたい.


参考
1)福井囲彦・藤田勉・宮奴元麿:脳卒中最前線第2板一急性期の診断からリハビリテーションまで−,医歯薬出版,PP478−480,1996.



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リハビリテーションに東洋医学を活用していく可能性について

 今回、東洋医学を学んでみたことによって、これから臨床の場で治療を行う立場から何ができるのかということについて考えてみました。
 東洋医学は人が病気にかからないようにする力を助け、人が病気にかかりやすくする力を除くことを原則として守ることによって、患者さんのQOLの維持・向上をはかる為には何ができるか、患者さん1人1人をどうとらえるか、ということについて考えていくものなのだと知りました。
 この考え方はリハビリテーションにも当てはまるのではないかと思いました。
刺激を与え、身体は必要な刺激は拾い、不必要なものは拾わずに反応を示すなどという考え方も導入していけるのではないかと思いました。私達は患者さんにさまざまな刺激を与え、その人に一番合った刺激を見つけていく必要があると思います。

 リハビリテーションを行うには、患者さんが良い状態でいなければ効果は出にくいものであると考えます。直接に、今回授業で使用した「五行スコアー質問表」を用いて行うことはできなくても、その要素を取り入れることで患者さんの状態を少しでも知ることができるような気がします。また、労働と休息といったものなどについても両方のバランスを考えなければならないということは、リハビリテーションにおいても同じことが言えると思います。
 東洋医学といえばツボとか鍼などといったものしか知らなかったのですが、「気」がとても重要なものであるとわかりました。「気」が充実している人は病気にもかかりにくいということなので、病気が良くなることもあるのではないか、と思います。

 授業の中で、実際に中国の臨床で行われている様子をビデオで見ることが出来ましたが、それは私達が行っていくのは難しい治療でも急に上肢が動いてしまったり、下肢も挙上できたり・・・・・というものでした。これには非常に驚きました。もし、このような治療がすべてにおいて行えるのなら、私達の訓練は何なのだろうとさえ思えるほどでした。

 しかし、まだそこまでは確立されていないようなので、私達は最近特に注目されている分野である東洋医学の考え方をどんどんリハビリテーションの場にまず取り入れることから始めるべきだと思いました。

 今私は肩こりでひどい頭痛がする程です。先生から湧いた種(王不留行)を授業で知り得たところに貼り、楽になりたいです。患者さんの中にもきっと筋緊張が強くつらい人がいらっしやると思います。マッサージをすることは難しく、なかなかツボに刺激を上手に与えることはできないかもしれませんが、できるなら種のようなものを使って少しでもそのつらさを軽減してほしいと思います。

 また、マッサージは自分1人では行いにくいですが、種を用いたツボ刺激であれば1人でも可能であると思います。このような自分1人ででも行うことができることからはじめ、徐々にリハビリテーションの場においても用いていけるようになりたいです。実際に今の状態では直接患者さんに行うことはできないと思いますが、私が臨床に出てからでも、東洋医学に関する勉強会や講習会などがあったらぜひ行きたいと思います。私達でも何か患者さんに対してできることがどんどん広まれば嬉しいと思います。

 リハビリテーションの場に東洋医学を活用して行く可能性はあると思えるし、今後どんどん活用される可能性は広がっていると思います。

 今まで私は東洋医学というものを漠然と捉えていて、興味はあったのですが関わることはほとんどありませんでした。今回の授業でもっとも基本的なことでしたが少し関わっていくことができました。ますます興味の持てる分野であり、もっとこれからもいろいろ学んでいきたいと思います。 まずは、自分がもっと健康に過ごせるように「気」を充実させがんばっていきたいと思います。




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 過去に教わった講義はほとんどが西洋医学をもとにしているようなイメージがあり、東洋医学受講前、私は「西洋医学が絶対である」というような、いま一つ根拠の無い観念を持っていた。しかし、現在ではその観念がやや変化している。例えば診断を例に挙げると、西洋医学的に診断がつかなければ東洋医学的に、また逆に東洋医学でお手上げならば西洋医学で、というのも心強いかも知れないが、それ以上に両者の意見が一致すればより信憑性の高い診断が下せると思われる。もっとも、事務的な問題が加われば、やや難の多い注文であると思われるが。そして同じようなことをリハビリテーションの場面に置き替えると、治療手段の選択肢が増えるだけでなくそれらの相乗効果も期待でき、結果として治療の質の向上に結びつくと考えられる。

 現在の自分は、理学療法テクニックの中で東洋医学的なものを抜きにしても、ほんの一部しか修得できていない。この先、患者の持つある一つの障害に立ち向かった時、それに対しいろいろな手段を試み、その中から最も効果的なものを選べるようになることが私の理想である。そのためには、今後いろいろなテクニックを身につけることが必要と考えているが、特に経穴などは以前から私の関心のある項目であったため、テクニックの一つとして、これを機にさらに理解を深めたいと思う。

 また、「理学療法士は、医師の指示のもとにその業務を遂行する」とは言えども、医師に言われるがままにしていれば良いという訳ではなく、当然、理学療法士にとっても患者の状態把握は重要であり、その日の体調により訓練内容は調整していかなければならないと考える。そこで今回教わった五行スコア質問による診断、および舌診断は有効であると思った。簡単な質問と舌を見るだけで、患者のおおよその体調が分かってしまうのであれば、非常に便利である。過去の実習では「何となく調子が良い」とか「なぜか、何となく調子が悪い」といった程度でしか患者の状態を伺ううことができず、反省の一要因であったため、今後、ぜひ修得して実用したいと思う。

 今回の講義では、東洋医学のほんの入り口を覗いてみただけだったのかもしれないが、それでも、興味をそそる事柄が数多くあった。上記したものも含め、将来、もっと時間をかけてじっくりと東洋医学について学んでみたいと思った。

 

 

12.21(2)

7〜12



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1.はじめに

 現在、私達を取り巻く医療には、多くの分野があり、それらは各地域に根差しているものから、世界共通の常識を持つものまで様々である。大部分を占める医療には、特に西洋医学があげられる。これから私達が目指そうとしている理学療法士も、教育、実習など西洋医学に基づいて行われており、知識の大きな基礎を作っている。

 しかし、古くから日本人には東洋医学が根づいていると思う。あんまや、つぼ、針、お灸などは、古くから用いられている。また現在においても、温泉に行った際に頼むマッサージや、スポーツ選手などが針に頼る例もよくある。医療の現場においても、マッサージ師や整体師の活躍の場はまだまだ多く見うけられる。直接的な体験ではないが、西洋医学で治癒に至らなかった、いわゆる医者からさじを投げられた患者が、東洋医学で完治したという話を聞くこともある。若干、まじないや気持ちの問題による場合もあるのかもしれないが、東洋医学は人間の神秘をより深くまで理解した分野であるような気がする。

 

2.リハビリテーションと東洋医学

 リハビリテーションとは、人間の機能的な面から患者にアプローチし、回復過程を助けていくものであると理解している。表面に現れるものには気を配るが、その患者における現窪の内面の変化に対してを気にかけることは難しく、またそのすべを知らない。アプローチ法は、患者に極力合った方法を選択するが、その選択肢も限られている。

 比べて東洋医学は、人間の内面的な面から患者にアプローチするのだと思う。「気」がその良い例であろう。現時点において患者の体内の気の流れを様々な方法で読み取り、改善法を探っていく。そのため、現時点での内面の変化に敏感に対応することができるのだと思う。そのアプローチ法の一つとして挙げられるのは、漢方薬であろう。西洋医学の薬に対して、実に多彩な種類を患者の容態に合わせて調合することができる。従って、薬の効能や、その配合は患者一人一人に合わせ、その疾病の状態の細部に至るまでを加味した上で作ることができる。

 東洋医学については、この講義においてほんの数時間だけ学んだ程度であるので、その長所、短所はいまだ理解しきれていないというのが今の自分の現状である。それ以前までは素人考えでつぼを探してみたり、鍼灸に興味を抱いていた程度であった。しかし、その魅力は大きい。上記のように西洋医学に比べて、長所が多くある。西洋医学、中でも私達がこれから専門としていくリハビリテーションにはもちろん限界がある。その限界に達した時、いまだ未知の領域である東洋医学にその切り口を見出すのも一つの手段だと思う。

 講義や雑談の中で教わった、屈曲パターンに拘縮してしまっている片麻痺患者の上肢に対し、つぼに対する刺激を加えることで、伸展位へと容易に変換してしまう技や、気持ち、筋の緊張をほぐす意味でのリラクゼーションに、つぼ押しなどを用いるのもまた一つの方法として考えられる。

 また、リハビリテーションを実際に行う前に、講義で少しだが触れた舌での体調診断が簡単に行えれば、言葉に表れていない隠れた面での健康チェックが行えるだろう。舌を見る前にでも、さらに簡便に紙面での質問方式で気楽に患者に答えてもらっても、これから実施しようとしているリハビリテーションの内容や、自宅での生活についてなど、少しでも役立てることができるであろう。 理学療法士はリハビリテーションについてのみの知識だけでは、十分とは言えないのだと思う。実習先の理学療法士の先生に教わったことであるが、医師は各分野での専門がある。患者は何の分野か分からないが漠然とした症状が発生した時、例え大学病院のような大きな病院に行ったとしても、何科を受診すれば良いのかわからないでいてしまう。そんな時、もしその患者がリハビリテーションをその時点で受けていたのなら、理学療法実施中の何気ない会話の中で躊躇せずにすぐ目の前にいる理学療法士に質問する。また、医師でも良く分からない段階の疾病をもつについては、理学療法を処方してリハビリテーション室に行くよう指示する。こんな時、理学療法士としては例え1年目であろうと、信頼関係を損なわないためにも、堂々と答えることができることが理想であろう。しかし、私たちには現段階では無理であろうし、勉強し直して後日答えることができれば良い方であると思う。そんな時、この講義で学んだ疾病に対する簡単な診断の方法が身についていれば、少しでも患者を安心させることができるはずである。

 

3.終わりに

 東洋医学をリハビリテーションに活かす方法は、さらに多く考えられるのであろう。しかし、現時点では記述した内容でしか考えが浮かばない。

 だが、全く学ばず、以前のように気が向いた時にのみ興味が湧くという状況よりは、講義を受けたことにより、専門分野として学んだ手段の他に、さらに理学療法を効率よく進めていく方法が一つ加わったと思う。最初はまだ社会人として余裕はないのかもしれないが、是非理学療法の現場に東洋医学を上手に取り入れ、分かりやすく楽しいリハビリテーションを進めることができるようになりたいと思う。



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(I).はじめに

 今回、集中講義にて東洋医学における基本的な考えについて学ぶ事ができ、西洋医学とはまた違った東洋医学の概念にとても興味が持てた。今後、理学療法士として患者と接する事になると思われるが、臨床の場においてこの東洋医学の概念を活かすため、以下に一東洋医学をリハビリテーションの中で活用していく可能性についてまとめることにする。

 

(II).リハビリテーションと東洋医学

 リハビリテーションでは、患者を中心として様々な職種が必要となり、これらの職種がバラバラに個々と患者に接するのでなく、密接なチームワークにより統一した方針のもと、患者の治療およびリハビリテーションにあたるべきであるとされる。それは異なった職種により、それぞれ異なった角度からとらえた問題点を総合し、全体像と患者のニーズを正確に把握した上で治療を行うためである。そういったなかで、東洋医学の視点から患者をみることは、患者の全体像をとらえる一つの手段であり、また同時に患者の情報源となりうるため、重要なことであると考える

 そのリハビリテーションの中で、理学療法士は主に運動機能的な部分を担い、患者の基本的動作の改善・向上を目指す。そのために、身件のどの部分が傷害されているのかを明らかにし、治療を進めていくことになる。しかし、理学療法士という立場からでは、どうしても運動機態のことを重点的に考えがちになる。私自身、実習を行ってみてそれを感じた。そのために患者の本当のゴールが見えなくなりそうなこともあり、どんな治療を行うべきか混乱してしまった時もあった。

 それらを考えると、やはり患者の内面を知る事は、運動機能の障害を知るのと同じくらい重要であると思われる。

 私は、西洋医学はそれを知る一つの手段であり,患者とのコミュニケーションにもなりうると考える。実際に理学療法士が、鍼や灸を使用して治療することはできないが、治療の触診時に、患者の病んでいるところを見つけることはできると思う。そして、それをきっかけに患者の生活スタイルを知る事もできると思うからである。 例えば、心が病んでいる患者に対して、悩みがあったのならそれを聞く事ができるし、他の身体部分に影響が出ていれば、それについて注意を促す事ができる。それができれば、理学療法士の立場からでも、患者に対して生活面でのアドバイスが可能になると思う。そういった点で東洋医学を活用できるのではないかと思う

 また、東洋医学にはツボ療法がある。現存では雑誌に載るぐらいに一般的になってきており、手軽に行えることが大きな利点であるといえる。しかし、その方法を知っているのは本を読んで知識を持っている人だけで、実際に位いこなせるの人は少ないのではないかと思う。したがって多くの患者は、自分のどの部分が弱っているというのは分からないし、どのツボをどのように刺激すればいいというのもツボについて知らなければ分からないと思う。 東洋医学では、患者のどこがどのような状態になっているのか、つまり私達が「証」を明らかにすることが重要であり、それを患者に伝える事が必要になってくると思われる。これができれば、治療に結び付けることができるし、患者にツボの場所や押し方を指導することによって、実際の生活の中に取り入れることが可能になると思われる。このような毎日の繰り返しが治療には大切なのではないかと思う。 その他に私が興味を持ったのは、食事の面である。それらを病院食に利用できたら、と考えた。

 しかし、実際にはお金や、患者の中で格差を感じてしまうことで問題になってしまう事も予想されるため実現するのは困難かもしれない。しかし、患者の中では長期入院の患者もいる。病院食はどの患者もほぼ同じメニューであるため、患者に合った食事を行えばより治療に効果的ではないかと思った。東洋医学では、病んでいる臓によって効果のある食べ物や色がある。それらを利用し、生活面からアプローチする事も大きな意味でのリハビリテーションではないかと考える。

 今回の集中講義で、東洋医学は脳卒中やスポーツの場においても広く活用され、効果が認められているのを知った。現在のリハビリテーションの中に、東洋医学が取り入れられる要素は、まだたくさんあると思う。東洋医学は体だけでなく食事や、精神的な部分にもよい影響を与えてくれる。したがって、運動機能だけに注目するリハビリテーションではなく、患者自身の生活をバックアップできるリハビリテーションが可能になると思われる。そのために多くの場面で東洋医学を今後広く活用できたら、と思う。

 

(II).終わりに

 今まで「東洋医学は難しい」というイメージがあって敬遠してきたが、今回、東洋医学について学ぶうちに、東洋医学の視点で物事を見る面白さを知ることができた。たくさんの切り口から見ていくことで患者を知ることができると考える。今後、理学療法士として患者と接する場面があると思うが、その手段の一つとしてここで述べた事を活かしていきたいと思う。



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 東洋医学概論の講義を受け,東洋医学について知ることがこれまでの誤解を取り除くことができました,同時に,東洋医学に感範を受け,今後さらに深く知りたいと感じました.にもかかわらず,本レポートの提出が,遅れて.しまったことをまず初めに,深くお詫びしたいと思います.

 本レポートのテーマは,“東洋医学をリハビリテーションにおいてどのように活用するか”ということでありますが,リハビリテーションについても3年間程度の学習であり,実際の患者に接したことも半年にも満たない程度でございますし,東洋医学においてはご存知のとおり講義で受けた3日間だけでございますので,私の率直な感想として書かせていただきます.まず講義の感想として,最も印象的であったのは“邪気を無くすのではなく正気を増やすことで病気を改善する”ということでした.これを聞き,これまで受けた講義において“マイナスの医学とプラスの医学”として,患者の悪い所を見つけようとするマイナスの医学ではなく,良い所を見つけようとするプラスの医学が必要であると講義されたことを思い出しました.しかしながら,そのような視点で評価していたのか,また,治療していたのかと考えると,不十分であったと思われます.現在私は,臨床実習を通して,訓練室での患者の様子を垣間見て,東洋医学やプラスの医学における病気に対する見かたの必要性を感じている次第でございます.次に,やはり“色体表”についての感想を書かなければ東洋医学のレポートを書いたことにはならないと思いますので,色体表に対する想いを書きたいと思います.

 色体表は,五臓六腑と身体のバランスを示すもので,これを指標とし評価および治療を行うものであると理解しています.色体表については,納得したようなさせられたような不思議な心境でありました.しかしながら,全体としての印象は,異様に説得力を持った表であると感じました.これが東洋医学の持つ歴史であるのかと感じました.

 さて,東洋医学とのかかわりについて私の考えは,まず病院自体に東洋医学を用いるべきだと思いました.これは東洋医学と西洋医学とは,互いに評価できない側面を持っていると感じたからです.たとえば私の祖母は,骨粗鬆症で数年前に腰椎の圧迫骨折となり入院しました.現在は,家で生活していますが,痛みや筋力低下などがあり,あまり動くことができません.また,常に足部の浮腫がひどく,紫色に変色しています、この足部に対して,皮膚科や循環器,内科などの病院に通っているのですが,よくわからずいろいろな治療をしているのが現状です.このような場合,それぞれの科の先生に加え,東洋医学の先生がいたらもっと変わっているのではないかと思いました.つまり,病院自体に東洋医学を用いるということは,一人の患者に対して各科の先生に加え東洋医学の所見を入れることで,新たな検査項目を発見したり,最も適した治療方針を打ち出すことができるのではないかと思いました.

 このような東洋医学と西洋医学が異なった見解を持ち合い治療を施すことは,病院における医療だけに限らず,スポーツ選手においても必要であると感じました.リハビリテーションを要する選手だけに限らず,試合当日の選手の状態を知ることや,能力を最大限に引き出す場合などにおいて,舌診断や色体表を用いることが選手にとって良い結果を残す事になるのではないかと思いました.さて,リハビリテーション(訓練室)においてどのように東洋医学を活用するかという事について,授業では針を用いた片麻痺患者の治療を見ました.この技術がどの程度進んでおり,どの程度の回復を見せるのかわかりませんので,ここではあまり触れず,講義の中心となった色体表における,各部位と五臓六腑の関わりから考えたいと思います.まずはじめに,私が就職したら必ずする事は,臍の下を探り元気の状態を知ることであると断言できます.そして,毎朝起きたら臍下丹田を押すことを必ず患者さんに指導する事でしょう.私は,このように東洋医学はリハビリテーションにおいて,全身状態を改善する事に活用すべきであると考えます.たとえば,訓練中の会話で“手足が冷たい”という患者に対しては,三陰交を押すことや,“風部気味だ”という患者には合谷を押す事によって早く(本格的な風邪になる前)から改善をはかることができます.そうなれば,訓練を休む事もないし,薬等を変更する必要もなく退院に向けて訓練に励む事ができると考えます.

 これに加え,臨床実習で思ったことですが,医師や看護婦よりもPTやOTのほうが,患者と接する機会が多く,患者の状態や訴えを知る事が多いということでした.ですから,訓練中に患者から訴えがあったら,すぐさま背中を触診し,舌を見て全身状態を認識し,色体表を基に対処する事が可能であると考えました.このような,医師より身近な立場にいるリハビリテーションスタッフは,東洋医学を通じて,病棟での治療のほかに対処し全身状態を改善する事が,東洋医学とリハビリテーション医学との関わりではないかと考えました.

 私はこれまで,東洋医学に対して誤った認識をしており,東洋と西洋は水と油のような印象を持っておりました.しかしながら,互いに融合し得ないものではないと感じることができました.一人の患者に対して東洋と西洋のそれぞれの側面で評価を行い,お互いに補い合い治療する事が必要であると感じました.その方法として,現在の私の知識では,リハビリテーションにおいて患者と近い立場にいる我々が施せる治療法としての東洋医学を活用する事を考えました.今後さらに勉強に励み,東洋医学を深く知る事で,また異なった活用法を見出せるのではないかと思います.

 最後に,3日間にわたり朝から晩まで講義してくださった兵頭先生,菊池先生に心から感謝申し上げます.ありがとうございました.



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はじめに

 リハビリテーション、特に理学療法を学んできた3年間は西洋医学と接する機会が多く、東洋医学とは接する機会がほとんどなかった。今回、東洋医学概論の講義を受け、東洋医学が身近なものだったことを意外に感じ、西洋医学とは異なる視点から疾病をとらえ治療している点に興味が沸いた。そこで、今まで関係が薄いと思ってきたこの分野を今後リハビリテーション、理学療法にどのように活かすことができるか考えてみた。

東洋医学とリハビリテーション

 東洋医学に対して抱いていたイメージは、針灸・指圧・漢方薬、治療院、整体師、マッサージであった。この講義を受け、このイメージが実に狭い考えのものだったことに気づいた。

 東洋医学は、様々な分野で活用されている。例えば、中国では脳卒中などの中枢性疾患に対して西洋医学の治療と平行して針治療を行っている病院がある。日本にもあるのだろうが、一般的ではないように思う。VTRで治療の様子を見たとき、その効果の大きさに驚き、PTとしてできることは少ないのではないかとさえ思った。脳卒中のリハは長期的になる場合が多いが、最近では入院日数やリハの期間を短くしていこうとする傾向がある。西洋医学のみに頼るのではなく、東洋医学の要素も取りいれることによっては治療の効果が上がり、結果として入院日数の短縮につながるのではないだろうか。VTRでは針治療の即時的な効果をみることができたが、長期的に見た場合の効果については詳しく知ることができなかったため、機会があったら調べてみたい。

 また、大学スポーツ界でも東洋医学が活用されているようだ。講義の中でも触れられたが、選手に対し舌診を行い、コンディションのチェックの指標にしていることや、その結果次第ではスタメンの変更を監督・コーチに意見することもあるということなど、選手の能力を最大限に引き出すことを目的として、東洋医学がスポーツ界に取り入れられていることを知った。先日の箱根駅伝では多くの大学生ランナーが活躍したが、テレビ中継を見ていて、ある大学の選手の頚部に目が止まった。その大学の選手の多くは、頚部に丸いシールのようなものを何枚か貼っていた。数年前に見たときには、四肢のあちこちに碁盤の目状にテープを貼っている姿がよく見られたが、そのシールを貼っている姿をみたのは初めてだった。何のためのものだろうと思ったが、東洋医学の考え方を取りいれたものではないだろうかと考えるようになった。

 講義の中で、「気」の存在は科学的に証明しにくいため、日本ではあまり重要視されてこなかったが、アメリカでは活発に取り入れようとする動きがあるという主旨の詰も聞いた。

 日本は中国に近く、文化的にも交流があるため、考え方なども理解しやすいのではないかと思うが、なかなか柔軟に取り入れられていないことをとても残念に思った。一方で、自分達に利益のある方法はすぐに取りいれるというアメリカ人の考えに感心した。リハビリの対象は障害であり、その原因疾患は脳卒中などの中枢性疾患や神経疾患、事故・けがによる整形外科疾患、スポーツ障害、循環器系・呼吸器系などの内科的疾患など多種にわたる。また、年齢層も乳児・小児から高齢者までと幅広い。リハビリに東洋医学を取りいれることを考えると、治療というよりはむしろ患者へのアドバイスの面で取りいれることが多くなるのではないかと思う。

 リハを行なう際には、治療医学と同じようにまず患者の情報収集を行う。この情報収集は、医師・看護士などの他部門のスタッフからの情報も含まれるが、・患者本人の訴えも重要視しなくてはならない。五行スコアについての知識を持っていたならば、患者の訴えの中に五行スコアに当てはまるような言葉があったとき、実際の症状と訴えを照らし合わせてみることができる。症状に出ていない場合には、今後の生活に注意を促すことができる。また、五臓と色、食材の関係からアドバイスできることもあるかもしれない。

 治療場面での東洋医学の活用方法を考えると、私達は鍼灸師の資格は取得していないので、治療の際に患者に対して針をうつことはできないが、指圧は行うことができる。理学療法においてマッサージは患者に対してよく行われる手技の一つである。マッサージを行う際に、経絡を念頭に置いて行うことで、さらに効果が期待できるのではないだろうか。

おわりに

 今回東洋医学概論の講義を選択し、今まで触れることのなかった分野と接することができた。この機会により東洋医学の基礎的な考え方を知ることができ、知識の幅が広がったように思う。また、東洋医学と西洋医学の相違点やリハビリテーションとの関係について考えるいい機会を与えられたように思う。このレポートは現在の学生としての立場での考えを述べたが、これから先臨床の場に出ても、東洋医学の長所に目を向け、いろいろな方法で理学療法に活かしていきたいと思う。



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【はじめに】

 最近、テレビや雑誌などで東洋医学をよく目にし、身近なものになってきたように思う。

 肩こりを治すつぼ、ダイエットに効果のあるつぼ。とにかく効果があるかはわからないが、何度か試したことがある。しかし、興味はあるものの実際に東洋医学がどういうものなのかということは全く知らなかった。今まで西洋医学を学び、これから西洋医学を職業としていく上で、一つの考え方に縛られずにいろいろな方法で病気に対してアプローチしていく必要性があるのではないかという考えを持っている。今回の講義の内容が東洋医学の全てではないと思うが、興味を持って話を聞くことができた。西洋・東洋二つの医学を一緒に行っている病院もあるということも聞き、将来、そういった病院が増え、患者自身が最も適している治療方法をいろいろな可能性の中から選べるようになったらと考える。

【リハビリテーションに東洋医学を活用していく可能性について】

 患者に対して漢方、針、灸などの実際の治療を行うことはできないものの、会話の中で最近の体調を聞きながら五行に照らし合わせてみたり、舌を見せてもらい体調の変化を見たりなど、理学療法のアプローチを行う前にコミュニケーションの一つの手段として活用していけるのではないかと考える。

 また、東洋医学においては、身体が示しているサインからだけではなく、その人の食生活や仕事の姿勢、話し方など問診において細かく聞いており、同じ病気であっても患者一人一人でアプローチしていかなければならないことが違ってくるように思えた。確かに、患者一人一人が違った身体であり、その患者に最も適した治療を行っていかなければならないということは、頭ではわかっているものの、なかなかうまく行うことができず、実習中は患者にアプローチしているつもりでも、その病名に対してアプローチしてしまっているのではないかと考えることがある。患者に会う前に処方箋の病名を見て、この病気にはこの治療といったように、まだ、知識がないために教科書通りにしかできないということもあるのかもしれないが、常に、患者一人一人と向き合って、的確なアプローチをおこなっていく上でも、東洋医学の問診のように患者の身体から気持ちまで全てを評価した上で治療が行えたらと考える。

 さらに、西洋医学の治療だけでは効果が見られない場合などに、色などの視覚的な効果を与えてみたりなど、ちょっとした東洋医学の考え方をプラスして治療を行ってみたらよいのではないかと考える。

 “「西洋医学」だから「東洋医学」だからこれは行えない。”と決めてしまうのではなく双方の長所を生かし「医学」として患者に治療を行っていけたらと考える。

【おわりに】

 東洋医学について、話を聞ける機会をつくっていただけたことに感謝します。

 今回の講義に出席しなければ、こういった考え方の医学もあるのだということを知らずに、西洋医学だけが病気を治す手段であると思いつづけ、患者に接していくことになっていたと思います。例え、東洋医学の実際のアプローチを行うことができないとしても、いくつか西洋医学にも応用できる考え方があったように思いました。

 今後、これを機に東洋医学についても少しずつ勉強し、実際に理学療法やリハビリにどう東洋医学を活用していくことができるかを考えていきたいと思います。

 ありがとうございました。

 

 

 


2001.12.20 (1)

1〜6



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 今回の講義で東洋医学の緻密な理論体系の一端に触れることができた。これまで東洋医学による治療は効くけれども科学的裏付けがないとのイメージがあった。しかし今ではそれは「西洋」科学的裏付けがないということなのだと考えるようになった。臓器の名前や機能が西洋医学で定義されているものと異なるといってもそれは間違っているのではなく、定義する方針自体が異なっているのだ。東洋医学的治療を進めるにあたってはその方針に基づいた定義が必要であり、それこそが正しいと考えるべきであろう。効くかどうかに関しては、長い年月にわたって効くものだけが残ったという進化論的な説明だけでも説得力があるように思える。

 一方、西洋医学・科学で未解明な現象は多い。とりわけリハビリテーション医学は発展途上といわれ、経験論的技術に依っている部分が少なくないともいわれる。そうした中で東洋医学の導入は試みる価値があると考える。実際に鍼の優れた鎮痛効果などを活用している医療機関もあるようだ。しかし残念ながら東洋医学と西洋医学の技術レベルでの統合が進んでいないため、東洋医学技術をセラピスト個人レベルで西洋医学的リハビリテーション治療体系の中に取り入れていくことは現状では困難もしくは不適当と思われる。それでも東洋医学的「哲学」に照らして西洋医学的知見を見直そうとする態度を持つことは、今すぐ実施できることであり、有意義でもあるといえるだろう。それによってリハビリテーションをよりよいものにしたり、臨床上の問題に対する新たな答えを見出すことにつながる可能性がある。

 以下に、素人の主観に基づくものであり誤解を含むかもしれないが、東洋医学的視点が持つメリットとして私が考えるものを挙げる:
 (1)生体の持つ自己治癒力に働きかけるものである点
 (2)身体の外側から内側に働きかける点
 (3)効果をもたらす機序が(西洋科学的に)未解明である点
 (4)西洋医学とは別に、独自に長い年月のうちに発展してきた点

 (1)について、西洋医学では身体器官別の病理学に基づいた治療が重視されるあまり「病気は治ったが患者は亡くなった」と揶揄されるような事態も起こっていたと聞く。これに対し東洋医学は対象者の身体状況を総合的に捉え、その自己治癒力を活用するという点で優れていると考えられる。
 (2)について、西洋医学がどちらかといえば解剖学的知見に基づき身体の内側にアプローチするのに対し、東洋医学では身体の外側・末梢にアプローチする印象がある。また、東洋医学では色をキーワードとしているが、これは身体のさらに外側の環境に着目しているとみることもできるだろう。これらは現代のリハビリテーションにおける感覚統合や認知に基づく運動療法にも通ずるのではないだろうか。
 (3)、(4)については逆説的であるが、東洋医学が現状において西洋医学と相容れない部分を持つからこそ批判のツールとなると考えるものである。西洋医学が現在も、そしておそらく未来においても全能ではありえないことを思い出させ、人命に関わる業務に従事するものとしての謙虚さを呼び起こす。また、東洋医学を研究することによって全く新たな知見を西洋医学・科学にもたらす可能性がある。例えば「気」の実在・実態を西洋科学的に解明しようとする研究の発展が望まれる。本場中国の隣国・日本の医療従事者が東洋医学の素養を身につけておくことによって、リハビリテーション医学の発展にユニークな立場から寄与する人材育成につながるとも考えられる。

 東洋医学・伝統医学への関心はアメリカなどでも高まっているとのことである。個人の受ける医療の選択肢の一つとして東洋医療が今後さらに注目され、西洋医学に東洋医学的知見を取り入れた統合医療も発展していくだろう。そうした動きの中で特にリハビリテーションの分野は治療の対象、治療期間や方法、哲学において東洋医学となじみやすい側面を持つとも感じられる。ただ、我々がこれまで理論・技術を学び、近い将来職業として携わることになるリハビリテーションは西洋医学に基づくものである。我々としては西洋医学的理論に基づいた治療・訓練を責任を持って行なわなければならない。安易に聞きかじりの東洋医学の手技を臨床現場で用いることは慎むべきと考える。リハビリテーション観として東洋医学的視点を取り入れつつ、必要な場合には専門家による東洋医学治療を依頼することにオープンである、私個人としては当分の間そのような立場を取ることになるだろうと思っている。

 



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 私は、東洋医学というのをあまり知らなかった。私の東洋医学のイメージは、「針を体にさすなんて痛いのではないか」とか「ツボを押して体調を改善している」というものだった。実習でお世話になったある病院でも針・灸を行っていた。専門の先生がいて、いつも患者さん達でいっぱいだった。針・灸が終わった後にリハビリテーションに来る患者さんもたくさんいた。「針を刺してもらわなかったので、今日は調子が悪い」、「この前来た時に治療してもらわなかったから今日は楽しみにしてきた」という話をよく患者さん達から聞いていた。どんな事を行っているのか見てみたいという興味はあったが、結局時間がなくてみることができなかった。そのように、治療の様子を見学したことがあるわけではないので、実際にどんな治療や評価が行われているのか知らなかった。そのために、リハビリテーションに東洋医学が活用できるのか、リハビリテーションと関係あるのか考えたことがなかったように思う。しかし、東洋医学概論の講義を受けて、リハビリテーションと東洋医学のことを考えたときに、「今まで関係ないように思っていたが、活用できることがあるのではないかと思った。

 講義でやった「舌診」や「五行スコアー」は患者さんの健康状態をチェックするのに活用できると思う。「舌診」は舌を見てその人の健康状態を見るというものだが、とてもおもしろいと思った。初めに講義で聞いた時は、舌で健康状態がわかるとは思わなかった。
確かに、「胃が悪いと舌が荒れるらしい」というのは聞いたことがあった。自分でも、胃が痛かったりした時はだいたい舌が荒れていたのでそうなのかもしれないとは思ったが、色や苔でも体調がわかるというのは聞いたことがなかった。舌というのは自分の体にあっていっも何気なく見ているのに、あまり気にしたことはなかったし、そのいつも見ている舌にたくさんの情報がつまっているとは気が付かなかった。健康状態がわかるのなら、患者さんの体調のチェックに活用できるのではないかと思う。神経学の評価で、麻痺があるかどうか評価するのに舌を見ることがあるが、患者さんも他人に舌を見せるというのは恥ずかしいようで嫌がられることもある。しかし、舌の状態を見るのであれば、自分でもできるということで活用でさるのではないかと思う。

 「五行スコアー」は、普通の生活の様子などのなにげない質問でその日の体調がわかるというもので、患者さんのちょっとした体調の変化を知るにはとても良い方法だと思う。五行スコアの質問表を見ると、「普投こういう症状がある」という質問がたくさんある。例えば、肝のスコアの「目が疲れやすいですか」や腎スコアの「足腰がだるいことがありますか」などは、患者さんでなくても体調が悪い時は感じることである。こんな身近な質問でどこが調子が悪いのかわかり、それが肝・心・脾・肺・腎のどの臓器かというのまでわかるというのは驚いた。患者さんの体調こよってその日のリハビリテーションプログラムを変更したりすることがよくあるので、五行スコアを利用したりして体調のチェックを行ったり、リハビリテーション中のリスク管理にも活用することができると思う。 脈の取り方も活用できると思う。私は肝、心・肺・脾胃・腎の脈があるとは知らなかったし、それが体調によって変化するということは初めて知った。脈は、実習の時に訓練前に患者さんの脈をとった時以外は熱が出た時などにしかとったことがない。そのため、脈が体調の変化を知らせることは知っていたが、そんなにいろいろな種類の脈があるとは驚いた。訓練中や訓練の前後に脈を取ることはリハビリテーションでも行うことである。その時一緒に講義でやった肝・心・肺・脾胃・腎の脈も取ってみたいと思う。それによって、各臓器が弱っていたりしないかがわかり、体調チェックが可能であると思う。

 患者さんに限らず私達よりも年齢が高い人達は、東洋医学の方がリハビリテーションよりも身近なものに感じているように患う。近所の人の話しでも針・灸・ツボというのは、「昔からある生活に役に立つ知識である」と感じている人が多いようだ。いろいろなツボが書いてある本も最近たくさん出ていて、生活に関するツボや疲れに関するツボが図や写真で詳しく、たくさん記載してある。私も、雑誌などを見て頭痛に効くツボや眼精疲労に効くツボを「ツボはこのへんかな」などと言いながら押してみたりしている。病床の患者さん達も、針・灸は「病床に来た時は必ずしてもらわないとと体調がおかしくなってしまう」「治療してもらうのを楽しみにしている」といったように生活していく中に必要なことになっているようだ。私達は専門家ではないので自分で針を刺して治療することはできないが、本などでツボを探してそこを押すことはできる。患者さん達と訓練中にいろいろな話をするがその時にツボの話をするとコミュニケーションが取りやすいということがある。患者さん達の方がツボに関しては知っていたりすることが多いので、教えてもらったりもする。そのぐらい生活の中に浸透しているのだと思う。その様に漫透しているものだから、やはりリハビリテーションにも活用できると思う。4月から就職をしたら、この講義で習った「ツボ」や「五行スコア」、「舌診」を活用してみたいと思う。



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(I).はじめに

 東洋医学というと、鍼灸や指圧、漢方という固定したイメージがある。実習時に担当していた患者が、リハビリと同時に鍼治療を受けていた。その時まで私は、リハビリはリハビリ、鍼は鍼と全く別物に感じていた。今回の特別講義で東洋医学がもっと身近にあるものだと感じ、またビデオで観た麻痺筋への刺激による鍼治療に驚愕した。それまで、私の中で全く交わることのなかったリハビリテーションと東洋医学の考え方に変化が生まれた。そこで、リハビリテーションと東洋医学の関連性について、また、これから一理学療法士として患者へのアプローチにどう活用していけるか検討する。

(II).リハビリテーションと東洋医学

 リハビリテーションにおいて、患者の全体像の把握はとても重要である。同じ疾患、同じレベルであっても、性格、体質、生活習慣などあらゆる面での個人の特徴によって、そのアプローチを変えていかなければならなし、そのためにはその人個人の情報、周囲環境情報、疾患に関する評価などあらゆる情報を収集し、総合的に判断して治療プログラムを組む必要がある。情報収集はリハビリテーションを行っていく最初の重要な一段階であり、これが不十分な場合だと、不必要な評価や反対に不十分な評価、不適切な治療や患者の負担を招くことがある。そして、この情報収集は不慣れだと要領が悪く、なかなか困難であることも多々ある。
 コミュニケーションを通してそうした情報を得るわけだが、患者側からいえば言いたくないこと、言えないこと、また、性格上自分から話すことを好まない人もいる。たとえそうであっても、リハビリテーションを進める上で、その人を理解ために必要な情報ならば、私達は知らなければ適切な対応ができない。そんな時の手がかり、会話のきっかけとして、東洋医学を活用できる。自分から話してくれないようなことでも、経絡や五行スコアの何気ない質問から病んでいる部分の見当をつけることができ、会話の中でこちらからそれとなく導き出すことができる。患者に気負いさせず、患者自身に自分のことを理解してもらえたという安心感を与えることが可能であり、セラピストと患者間の人間関係をスムーズにさせる効果があると考える。患者が自身を語ってくれなければ、決してその人を理解することはできない。言葉ではない、身体や精神状態などが発するノンバーバルなことばからのコミュニケーションもあると考える。

 理学療法上も触診で全身の筋緊張を確認したり、姿勢・動作分析からノンバーバルな患者からの情報を得ることがある。それと同時に、要穴を押してみてその人の状態を把握することも、表に出ている感情や精神状態から病んでいる部分を推し量ることもでき、相手を知るための手段が広がるだろう。これを適宜活用すれば、相手に合わせた負担の少ない評価ができると考える。

 また、東洋医学の考え方は日常の生活に通じるものがある。気(身近なものでいえば元気)や精など、日常の中に知らぬ間に一般的になっているものが数多くある。古来から受けつがれてきたもの、人間の本質がそこにあるように感じる。私達の普段の何気ない言動や感情もさまざまな事柄につながっているという東洋医学の考え方が根底にあり、そしてその意味を知っていることで意識の持ち方が変わってくる。普段の生活でふと気づいて、自己診断できるからである。東洋医学を身近に感じることによって、小さな意識改善がうまれる。それが自己へ注意を向けることになり、生活の改善となり、自己管理へとつながるのではないだろうか。患者自身で自律できれば、患者の自信になり、自立への手助けにさえなると考える。

 これはリハビリテーションを受けている患者だけでなく、すべての人にいえることだろう。筋自体や関節などの機能を回復させる治療もあるが、このようなことも患者の生活の向上を高めるための相乗作用といえると考える。

 今回の講義において私が最も興味を持ったのは、人体に疾病を発生させる原因(病因)である六淫、七情である。気象や季節の変化の際に体調を崩しやすいこと、また『病は気から』といわれることは、この六淫、七情であった。外からの要因、内からの要因と、人は様々なストレスにさらされて生活している。

 疾患を持った患者も例外ではない。さらに大きなストレスを抱えている。それならば、少しでも別のストレスを減らし、負担を軽くすることも可能なのではないかと考えた。少なくとも、気侯の変化した時や感情大きく乱すできごとがあった時、相手を気づかうことで六淫、七情からくる疾病は予防できると考える。

 また、リハビリテーション中も大きな感情の変動を起こさないように、穏やかに安心してセラピーを受けたり、前向きな気持ちで励めるように感情を高めたり、セラピストができることはある。

 以上に述べてきたように、東洋医学の視点からみた評価、治療効果の相乗作用、予防などが考えられ、リハビリテーションに東洋医学の考え方をプラスすることでアプローチの幅が広がり、よりよいリハビリテーションを患者に提供することができると考える。リハビリテーションはチーム医療であるといわれている。それぞれの専門的視野から、またリハビリテーションチームとして大きな視野からそれぞれの専門性を活かした連携プレイで患者にアプローチしていく。私の中ではそのなかに、東洋医学という分野も加わってきた。まだまだそれを使いこなせるほどの器量はないが、どれがいいと侮ることなく、その患者にとって最良の方法を幅広く提供できるような知識と技術を身につけていきたいと考える。

(II).おわりに

 リハビリの学校で東洋医学を取り入れている所はほとんどないと聞いた。今回のことがきっかけとなって自分自身さらに向上したいと思う一方、もっと多くのセラピストに東洋医学の考え方が浸透し、それを一つの手段として自分の中でこなし、患者へのアプローチがよりよいものとなること、患者にとってプラスとなることを期待する。




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 今まで私は「東洋医学」というと「中国3000(または4000)年の歴史によって培われてきたもの、経験からなる医学」「漢方薬や鍼灸を用いることで不思議と体が良くなる怪しい医学」といった偏見的にみている部分があった。

 今回、「東洋医学概論」の講義を受けてみて、私が考えていた以上に「東洋医学」というものが身近に感じられた。漢方薬、鍼灸がその存在を世間一般に受け入れらていることは専門書だけでなく、「健康」をテーマにした大衆向けの書籍やテレビ番組などで多く取り上げられていることからも分かる。しかし、ここで私が述べる「東洋医学を身近に感じた」言い換えれば「東洋医学に対して親近感が沸いた」というのは理学療法士という医療従事者を目指す者の眼で見た感想である。

 私は3年間、医療の主にリハビリテーションという分野で活動する理学療法士を目指してそのために必要な知識・技術を学んできた。学んできたことを大雑把にいえば、人体の構造から人体に起こる現象、特に異常な現象っまりいわゆる病気・ケガといわれるものを理学療法士という職業の立場からどのようにアプローチするのか、といったところだろう。

 今まで学んできたことの大体は「医学・科学的」に証明され、説明できるものであるが、ここでいう「医学・科学的」というのは大部分が「西洋医学」の概念からみたものであろう。今まで学んできたことを鵜呑みにし、疑うということを考えた事は、学生で知識・技術が未熟ということもあり、ほとんどなかった。今回、本講義を受講したことで「ヒト」という同じ対象を別の概念でみる「東洋医学」の存在を知ることができた。「西洋医学」と「東洋医学」の間において概念に異なる点があり表現が違っても実際は同一または類似の現象を意味していることが多くあることを知り、両者が同じものを対象にしている学問であることを実感した。

 今回の授業の中で最も興味があったのが「鍼灸」特に「ツボ」であった。「00の症状にはここのツボが効く」といった具合でマスコミが取り上げているのを眼にすることが多い。しかし、自分も含め、「ツボ」を押すことで人体がどういう過程を経ているのかということはあまり気にせず、結果だけを期待して行なっている気がするが、これだけ支持される理由は健康に良いことが手軽にできる(専門的にみれば厳密にはそうではないのかもしれないが)点が挙げられるのではないだろうか。こういう事から日本人にとって「ツボ」は馴染みがあり、認知されているものであると考えられる。

 理学療法士をはじめリハビリテーションに関わる職業は何らかの障害を持った人を相手にする。つまり「治療者とその治療を受ける患者」の関係にある。一見、治療者が上に立ってしまいそうな気もするが、実際は1対1の対等な関係が基盤となっていなければならないと思う。その基盤を築いていく上で、普段からのコミニケーションによる信頼関係が重要になると思われる。何気ない会話から患者の心身の状態を把握できる可能性もあると考えられる。以前、施床実習の際に片麻痺患者の患側上肢の機能訓練などに「お手玉」を利用する理由について

(1)重さが適切で掴み易い
(2)材料費が安く作製するのも簡単
(3)患者(特に高齢者)にとって馴染みがある
 という説明を受けたことがあった。(1)と(2)については一人で考えられそうなことであったが、(3)については考えつきそうもないことであった。患者にとってリハビリテーションは苦痛や疲労を伴なう場合が少なくない。患者にとって馴染みのある物を訓練に用いることは訓練に使うための道具としての抵抗を軽減しモチべ−ションを維持または高めることも可能となるのではないだろうか。「馴染み」という点から見てから会話の話題として「ツボ」を利用したら倶たようなことが期待できるのではないだろうか。また一般に「ツボ=健康に良いもの」として知られていることから、心身に障害を持つ患者にとってはなおさら興味のある話顔となり得るのではないだろうか。「ここを押すと00に効くんだって」といった感じで会話の中に取り入れたり、「ツボ」という話題から患者の訴える症状を聞き出すことも可能になるのではないだろうか。
 約70%の医師が漢方薬を使っているという統計もあるというが、これは望ましい傾向であると思う。同一のものを対象としているのなら、互いの長所を利用し合っていくことで相乗効果が期待できるのではないだろうか。「東洋医学」「西洋医学」を問わず医師、理学療法士などのリハビリテーションスタッフ、鍼灸師などそれぞれ資格を必要とする職業であり、職種による業務内容も限りがある。しかし、某OMR先生のように理学療法士であり、鍼灸師でもあるといったふうに複数の資格を持つ人がいるが、実際に行なう仕事は働く場所によって1つに絞られてしまっているのが現状である。リハビリテーション(または医療)を受けるのは患者であり、患者にとって効果が期待できる治療法の選択肢が多いにこしたことはないと思われる。漢方薬だけでなく、同一のものを対象としている以上、職種間の境界線を超えて利用していくことで患者にとってより良いリハビリテーション(または医療)を提供できるのではないだろうか。

 



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1.はじめに

 現在、私達を取り巻く医療には、多くの分野があり、それらは各地域に根差しているものから、世界共通の常識を持つものまで様々である。大部分を占める医療には、特に西洋医学があげられる。これから私達が目指そうとしている理学療法士も、教育、実習など西洋医学に基づいて行われており、知識の大きな基礎を作っている。

 しかし、古くから日本人には東洋医学が根づいていると思う。あんまや、つぼ、針、お灸などは、古くから用いられている。また現在においても、温泉に行った際に頼むマッサージや、スポーツ選手などが針に頼る例もよくある。医療の現場においても、マッサージ師や整体師の活躍の場はまだまだ多く見うけられる。直接的な体験ではないが、西洋医学で治癒に至らなかった、いわゆる医者からさじを投げられた患者が、東洋医学で完治したという話を聞くこともある。若干、まじないや気持ちの問題による場合もあるのかもしれないが、東洋医学は人間の神秘をより深くまで理解した分野であるような気がする。

2.リハビリテーションと東洋医学

 リハビリテーションとは、人間の機能的な面から患者にアプローチし、回復過程を助けていくものであると理解している。表面に現れるものには気を配るが、その患者における現窪の内面の変化に対してを気にかけることは難しく、またそのすべを知らない。アプローチ法は、患者に極力合った方法を選択するが、その選択肢も限られている。

 東洋医学は、人間の内面的な面から患者にアプローチするのだと思う。「気」がその良い例であろう。現時点において患者の体内の気の流れを様々な方法で読み取り、改善法を探っていく。そのため、現時点での内面の変化に敏感に対応することができるのだと思う。そのアプローチ法の一つとして挙げられるのは、漢方薬であろう。西洋医学の薬に対して、実に多彩な種類を患者の容態に合わせて調合することができる。従って、薬の効能や、その配合は患者一人一人に合わせ、その疾病の状態の細部に至るまでを加味した上で作ることができる。

 東洋医学については、この講義においてほんの数時間だけ学んだ程度であるので、その長所、短所はいまだ理解しきれていないというのが今の自分の現状である。それ以前までは素人考えでつぼを探してみたり、鍼灸に興味を抱いていた程度であった。しかし、その魅力は大きい。上記のように西洋医学に比べて、長所が多くある。西洋医学、中でも私達がこれから専門としていくリハビリテーションにはもちろん限界がある。その限界に達した時、いまだ未知の領域である東洋医学にその切り口を見出すのも一つの手段だと思う。

 講義や雑談の中で教わった、屈曲パターンに拘縮してしまっている片麻痺患者の上肢に対し、つぼに対する刺激を加えることで、伸展位へと容易に変換してしまう技や、気持ち、筋の緊張をほぐす意味でのリラクゼーションに、つぼ押しなどを用いるのもまた一つの方法として考えられる。

 また、リハビリテーションを実際に行う前に、講義で少しだが触れた舌での体調診断が簡単に行えれば、言葉に表れていない隠れた面での健康チェックが行えるだろう。舌を見る前にでも、さらに簡便に紙面での質問方式で気楽に患者に答えてもらっても、これから実施しようとしているリハビリテーションの内容や、自宅での生活についてなど、少しでも役立てることができるであろう。 理学療法士はリハビリテーションについてのみの知識だけでは、十分とは言えないのだと思う。実習先の理学療法士の先生に教わったことであるが、医師は各分野での専門がある。患者は何の分野か分からないが漠然とした症状が発生した時、例え大学病院のような大きな病院に行ったとしても、何科を受診すれば良いのかわからないでいてしまう。そんな時、もしその患者がリハビリテーションをその時点で受けていたのなら、理学療法実施中の何気ない会話の中で躊躇せずにすぐ目の前にいる理学療法士に質問する。また、医師でも良く分からない段階の疾病をもつについては、理学療法を処方してリハビリテーション室に行くよう指示する。こんな時、理学療法士としては例え1年目であろうと、信頼関係を損なわないためにも、堂々と答えることができることが理想であろう。しかし、私たちには現段階では無理であろうし、勉強し直して後日答えることができれば良い方であると思う。そんな時、この講義で学んだ疾病に対する簡単な診断の方法が身についていれば、少しでも患者を安心させることができるはずである。

3.終わりに

 東洋医学をリハビリテーションに活かす方法は、さらに多く考えられるのであろう。しかし、現時点では記述した内容でしか考えが浮かばない。

 だが、全く学ばず、以前のように気が向いた時にのみ興味が湧くという状況よりは、講義を受けたことにより、専門分野として学んだ手段の他に、さらに理学療法を効率よく進めていく方法が一つ加わったと思う。最初はまだ社会人として余裕はないのかもしれないが、是非理学療法の現場に東洋医学を上手に取り入れ、分かりやすく楽しいリハビリテーションを進めることができるようになりたいと思う。



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(I).はじめに

 現在日本は高齢社会になりつつあるといわれている。高齢者の増加に伴い生じている障害の重度化や重複化に対応するため、リハビリテーションにおいても多面的なアプローチが必要なのではないかと思われる。そういったことからも、東洋医学をリハビリテーションに活用していく意義は大いにあると考える。そこで、リハビリテーションにおいてどのような場面で東洋医学を活用していくことができるかを自分なりに考えたので以下に記載する。

(II).リハビリテーションにおける東洋医学的アプローチの可能性

 リハビリテーションは単に手足の機能回復などの部分的な意味だけではなく、人間全体としての全人間的復権を意味する。そのためリハビリテーションを進めていく上で、患者の全身状態を整えたり、意欲やモチべ−ションを高めるためのアプローチも必要となる。

 そういった場面で東洋医学の鍼灸を用いてつぼを刺激することにより、全身状態を整えて訓練に望むことができるのではないかと考える。また、東洋医学の考え方では、治療により自らが持つ治癒力や免疫力を高めていくことも期待できるため、合併症などの予防にもっながっていくのではないかと考える。その他にも、毎日訓練前に舌診を行うことにより、簡便にその日の患者の全身状態を把握することも可能であると思われる。

 全身状態の調整だけでなく部分的な治療として、痛みに対する治療でも東洋医学は大いに活用できると考える。転床の場面において、整形疾患の患者はもちろん中枢性疾患の患者でも痛みを訴えることは非常に多い。現在痛みの治療として理学療法の分野で用いている物理療法では、なかなか痛みの改善が見られないことがある。そういった場合に鍼・灸はもちろん徒手でのつぼ押しも効果があるのではないかと思われる。鍼・灸を実施するには資格が必要であるが、つぼ押しであれば道具を用いることもなく簡単に実施できる。私達もつぼを心得ておけば陸床の場面で活用することは可能だと思われる。

 今回授業で見たビデオで、弛緩性の片麻痺患者に対して鍼治療を行い、随意的な運動が見られるようになる場面を見た。その効果がどの程度持続するのかは良く分からなかったが、非常にに興味深かった。片麻頼患者は機能回復が進まないと、リハビリテーションに対して意欲を低下させることがある。そのような患者に対し、鍼治療で随意運動を促すことにより、患者の訓練に対する意欲を向上させることができるのではないかと考える。

 以上のようなこと以外にもリハビリテーションにおいて東洋医学を活用できる場面はたくさんあるのではないかと思われる。西洋医学だけでなく東洋医学も用いて多面的なアプローチを行っていくことにより、これまでにない新しい治療ができたらすばらしいことだと考える。

(III).おわりに

 現在リハビリテーションの場面や病院での疾患の治療などで、東洋医学を用いているところはほとんどない。そのため、これまでも自分自身東洋医学に興味はあったが、今回授業を受けるまでけ東洋医学に触れる機会が少なかった。今回初めて東洋医学を学んでみて、これまで学んできた西洋医学とは違った考え方や治療法だったので、非常に新鮮だった。

 どちらが良いとか悪いということではなく、お互いの良い所を取り入れていくためにも、東洋医学・西洋医学の両方について理解を深めていくことが重要であると思う。今回は短い時間であったが、東洋医学を少しでも学ぶことができて貴重な経験となった。今後も機会を見つけ、東洋医学についてより理解を深めていきたいと考える。