世界の鍼灸最前線 海外の鍼灸関係のトピックス |
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「ディ・ラボ最新152号」2007年3月第5週号 ▲戻る
――――――――――――――――――――――――――――――――― [“Say 'ah' to acupuncture” CNN - Mar 29, 2007] 米国CNNは、3月29日付の記事で、記者による「米国鍼治療大学院大学での学生鍼治療臨床実習」の体験リポートを中心に「鍼治療」について詳しく紹介しました(注)。 今回の記事は、CNN記者が米国の鍼師養成過程である大学院大学で行われている臨床実習に患者さんとして参加しながら、そのレポートを通して、鍼治療とはどう行われるのか、鍼治療とはどういうものであるのか、鍼治療が基づく東洋医学理論とはどういうものであるのか、などについて多角的にリポートしています。 記事では、具体的には、WHOやNIHといった公的機関が鍼治療の効果を認めていると紹介されたり、鍼治療が現代医学とは異なる視点で生体を捉えているためにこうした効果が得られているということが西洋医学の権威である医師のコメントで紹介されたりしています。 その上で、臨床実習をうけたこのCNN記者は鍼治療によって得られるリラックス感が気に入ったようで、その効果を「家族や友人に薦めようとおもう」とまで述べています。 CNNといえば世界中の誰もが知っているテレビメディアです。テレビメディアの世論に対する影響力というのは、新聞メディアでの露出による影響力よりはより直截的という特徴を持ちます。ましてやCNNはテレビメディアの中でも抜群の知名度、視聴度を持っています。 そのCNNがこうした内容で鍼治療を伝えるということは、世界中の鍼治療を知らない人々の鍼治療に対する正しい理解を促すという面でも、鍼治療に対する好意的な論調を社会全体に形作るという面でも非常に強力な後押しになることは確実です。 このことは、同時に、日本の「鍼灸(師)」がその独自性と優位性の普及促進を図るためには、鍼治療に対する世界的な「追い風」がホンモノであることを前提にした取り組みが必要だということを意味するのです。 (注:メディアによる記事とウェブサイト) “Say 'ah' to acupuncture” CNN - Mar 29, 2007 『本文』 ---------------------------------------------------------------- I don't usually stick my tongue out at my doctor. But that is exactly what Bianca, a clinic intern at the Acupuncture and Integrative Medicine College in Berkeley, California, has asked me to do. The college offers a discount on acupuncture if you agree to let students like Bianca observe your treatment. And because nothing else seems to be helping curb my back pain, I've decided to play along. "Like, really stick it out?" I ask, glancing at the five other interns clustered around Bianca, all leaning forward and staring at my mouth. "Yes," she says. "We all want to take a look." Reluctantly, I open wide and extend my tongue as far as it'll go. Bianca has already asked me about my menstrual blood and vaginal discharge in front of the group (both are pretty normal, thank you). Now, as the students debate various aspects of my tongue --like its color (dusky purple) and coating (thin and white). I think of a different question: What, exactly, does this have to do with my backache? Acupuncture is a type of traditional Chinese medicine that's been practiced for at least 2,500 years. It's partly based on the idea that backaches (and any other complaints) aren't singular problems. "You're taught that what happens in one part of the body is reflected in the rest of the body," says Jill Blakeway, a renowned acupuncturist in New York. "It emphasizes the interconnectedness of everything in the universe." (Health.com: Feel better, naturally ) Acupuncture also teaches that the body contains two opposing forces: yin and yang. Together, they contribute to your chi (pronounced "chee"), a Chinese word roughly translated as "vital energy." If this energy flow is interrupted or blocked, it can cause pain and disease. This is part of the reason that Bianca's examining my tongue -- acupuncturists think your tongue can reveal energy imbalances in your body. Turns out a purple color suggests stagnation in your chi, which could lead to a range ofdisorders, including a sore back. Acupuncturists try to restore balance in the body by stimulating specific points, often by inserting thin metal needles into the skin. Sometimes electrical currents are even added to the needles to increase their effectiveness. No one is entirely sure how acupuncture works, but groups like the National Institutes of Health and the World Health Organization agree it's a useful remedy. The WHO lists more than 40 conditions for which acupuncture is often used, including addictions, nausea and vomiting, asthma, digestive issues, sinusitis, osteoarthritis, and allergies. It's also used increasingly for infertility. Some of the best evidence shows it may offer relief for pain -- from post-surgery dental pain to menstrual cramps, from migraines to tennis elbow. "It's definitely effective in some cases," says Mehmet Oz, M.D., a heart surgeon and vice chairman of surgery at New York Presbyterian Hospital-Columbia University, who recommends acupuncture to his patients. "What I love the most is that acupuncture makes us think very differently about how the body works." Oz and Blakeway both agree that acupuncture is worth a try if Western medicine seems to fail you. (Health.com: Immunity boosters ) After my tongue exam, Bianca and her classmates ask questions about my overall state. Do I have trouble sleeping? No. Am I generally hot or cold? I fluctuate. And how is my appetite? Healthy! Then their professor, Hua Ling Xu, chair of the AIMC Oriental Medicine Department, identifies treatment points on my wrists, shoulders, hands, ankles, and the backs of my knees. As I lie face down on the table, Xu swabs each point with alcohol, flicks it with her finger, and briskly taps sterile needles into my body. I feel a slight prick when the needles -- inserted a quarter-inch to an inch deep -- puncture my skin. (If you experience pain, they need to be adjusted). I also feel what acupuncturists call a chi sensation, which I've heard described as "deep," "achy," "tingly," or "quivery." One point in my back makes my left hand twitch. Another, next to my thumb, sends what feels like a flash of electricity through my entire body. And in the 20 minutes I'm on the table, I notice something ironic: Having 14needles stuck in my body is surprisingly relaxing. I leave the clinic feeling energized, with the muscles in my back looser and my mind peaceful and centered, despite my microscopic puncture wounds. I return for two more sessions, and, although I don't feel completely pain-free, I've started recommending acupuncture to friends and family --no matter what their tongues look like. ---------------------------------------------------------------- 人前でめったに舌など出したことがないが、しかし、バークレー鍼統合医療大学院大学のインターンであるビアンカ先生は、診察中に私にそういった。 この大学では、学生による鍼治療実習を割引料金で受けられるようにしており、ビアンカによる治療もその実習なのだ。長年わずらっている腰痛もほかの治療法でもよくなる気配が一向にないことからも、私はこの実習治療を受けることに同意したのだった。 「本当に舌をだすわけ?」ビアンカを取り囲むようにして私が舌を出すのを今か今かと待ち構えている5人の実習生を見回しながら私はこう尋ねた。ビアンカは「はい、お願いいたします。舌を観察します。」といった。 しぶしぶながらも私は自分の舌をできるだけ出したのだ。この前に、ビアンカは私の生理の状態を訪ねている。そして、今度は舌を見ながら私の舌の状態を――色、苔などについていろいろと議論しているのだ。そこで、私は新たな疑問を思いついた。これっていったい私の腰痛と何が関係するの? 鍼治療というのは、そもそも2500年以上前から行われている中国伝統医療のひとつである。鍼治療の考え方では、腰痛というのは単なる不調ではないということになる。ニューヨークに住む鍼治療家のジル・ブレイクウェイ氏はこう述べる。「体のある部分の不調というのはほかの部分へ影響するというのが鍼治療の考え方です。」「基本的な考え方は体全体をひとつの宇宙としてとらえ、すべての調和の上に存在しているということです。」 鍼治療では、体は陰と陽という二つの要素からなっているということになっている。これら二つの要素が合わさって気と呼ばれる体に不可欠なエネルギーを形作っている。もしもこのエネルギーの流れが阻害されたり止まったりすると、それによって体が痛みや不調を訴えるというのだ。この考え方に基づいて、ビアンカは私の舌を見るというような一見腰痛と関係ないような診察を行ったのであった。つまり、鍼治療では舌の状態が体の気の状態を表しているというのだ。たとえば、紫がかった状態は気の渋滞した状態であり、腰痛を含めてさまざまな体の不調を引き起こす可能性が考えられるのだ。 鍼治療家は、ごく細い鍼を体に刺すことによって特定のツボを刺激することでこのバランスの崩れを修正しようとしているのだ。また、時には鍼に電極を流すことで効果を挙げる方法が使われることもある。 現在、鍼がどのように生体に作用して効果を挙げているのかについてはよく知られていない。しかし、NIHやWHOといった機関では鍼治療は治療効果を持つことだけは認めている。WHOでは鍼治療が用いられて効果を挙げるとする疾患を40以上挙げており、その中には吐き気や嘔吐、喘息、消化、副鼻腔炎、関節炎、アレルギーなどが含まれている。最近では、不妊症の治療に使われる例が増えている。いくつかの実験結果では、痛みの解消に対して大きな効果を挙げていることがわかっている。たとえば、歯科手術後の痛み軽減や生理痛、偏頭痛やテニス肘である。 ニューヨークにあるPresbyterian Hospital-Columbia Universityの心臓外科医であり副理事長であるメメット・オズ医師は「鍼治療はいくつかの疾患ではかなりの効果があるのは確かである」と述べ、自身も患者さんに鍼治療を進めている。また、「鍼治療のすばらしい点は体の仕組みや働きを現代医学とまったく異なる視点で見ている点である」と述べている。こうみると、オズ医師もブレイクウェイ氏も両者とも現代医学では対応できない疾患の場合には鍼治療は試す価値があるという点では一致している。 舌を見たあと、ビアンカや彼女のクラスメイトは相対的な私の体の調子について質問を始めた。睡眠の状態はどうか?体は暑がりか寒がりか?食欲はどうか?その後、彼らの指導教官であるAIMC東洋医学科学科長のシュ・ハリン教授が、治療に使うツボを指示した。その後ベッドに横になると、シュ教授はツボの周りをアルコール消毒し、指で柔捻した後消毒済みの鍼を体に弾入した。 鍼が体に3センチほど刺さったとき鈍いうずくような痛みを感じた。そして、鍼治療で言うところの響きを感じた。背中のツボを刺激されたときには、左の手がぴくっと反応した。親指の隣に刺した鍼では、体全体に電気が走ったような幹事を受けたりもした。こうした20分間の治療で合計14本の鍼を刺入されたのだが、驚いたことに、とても体がリラックスしたのだった。 クリニックを後にするときには体はすっかりエネルギーがみなぎるようになっており、腰の筋肉は非常に緩んだ感じがした。また、打たれたツボにはまだなんとなく傷があるような感じもしたが、気持ちも穏やかになっていた。腰の痛みはすっかり消えたわけではないが、この後2回治療を受け、親戚や友人に鍼治療を進めるようになったのだった。 ---------------------------------------------------------------- 「ディ・ラボ最新152号」2007年3月第5週号 ▲戻る
ちなんで、鍼治療による禁煙法を紹介する記事を配信: ――――――――――――――――――――――――――――――――― “ASHES TO ASHES” Mirror.co.uk, UK - Mar 26, 2007 “Out of puff” Times Online, UK - Mar 24, 2007 「ディ・ラボ最新152号」2007年3月第5週号 ▲戻る
療による健康管理方法を紹介する中で鍼治療の有名治療家を取り上げる: ――――――――――――――――――――――――――――――――― “New breed of well-being gurus coming to the 'emotional rescue'” Daily Mail, UK - Mar 25, 2007 「ディ・ラボ最新148号」2007年3月第1週号 ▲戻る
が「医療(者)」化するために自らできる取り組み ――――――――――――――――――――――――――――――――― [“Hot flash help: Can acupuncture do the trick?” MSNBC - Feb 26, 2007] 米国MSNBCは、2月26日付の記事で、「更年期障害によるほてり症状改善のための鍼治療」について解説しました(注)。 全米で最も人気のある朝の情報バラエティ番組にNBCテレビの「TODAYshow」というのがあります。今回の記事は、そこで医療関係のアドバイスや解説をおこなっている医師が読者からの質問に答える形で「更年期障害のほてり症状に対する鍼治療」について、その内容や医学的根拠や信頼性などについて解説したものです。 記事では、医師がさまざま科学的知見に基づいて、現代医療と鍼医療によるほてり治療の治療内容、機序に基づいて診療のアドバイスをしています。 鍼治療については、「鍼治療が脳内の化学物質の分泌量を変化させることでほてり症状の改善をもたらす可能性がある」といった医学的な分析が紹介されています。また、鍼治療の更年期障害のほてり症状に対する最新の科学的知見ではプラセボ効果の可能性が捨てきれないという結果が多くあることも紹介しています。 今回の記事の中で、本人の希望があればという条件付ながら鍼治療を受けることを奨励していることは特筆して良いと思います。前にも書きましたが、この医師は全米規模でよく知られた医療専門家であり、今回の回答を読んでも決して偏りのない理論的な考え方(科学的根拠)に基づいて医学的なアドバイスを行っていることは良く分かります。つまり、これが一般的な米国医学の側の論調であることを示しているのです。 こうした医療の側の「鍼灸(師)」に対する論調傾向は、やはり、鍼灸治療効果の科学的な検証の積み重ねによるものが大きいといえましょう。今回のアドバイスだって、現代医療と鍼治療のRTCなどを見比べて結論を述べているわけですし、これも鍼治療が西洋医療の土俵にのって検証されていればこそ、の話です。 相手を説得するのには相手の言葉を話すのが一番だということなのだと言う事です。そうすれば「鍼灸(師)」を「医療(者)」として認めるのだということを、米国が証明してくれています。 (注:メディアによる記事とウェブサイト) “Hot flash help: Can acupuncture do the trick?” MSNBC - Feb 26, 2007 ---------------------------------------------------------------- Q: I'm 52 years old and I just can't stay dry - I have constant hot flashes. Will acupuncture help? A: You're in good company. The majority of women in the U.S. who go through menopause experience hot flashes. For some it's an interesting "oh, I'm a little hot and sweaty" phenomenon, while for others hot flashes can occur throughout the day and night, affect their ability to function, prevent their make up from staying on, and, most importantly, interrupts their sleep. In other words, hot flashes can be debilitating. The one therapy we know that successfully alleviates hot flashes is HT (hormone therapy). The gold standard for evaluating the effectiveness of a medicine is the Cochrane Database Review. It showed a 75 percent decrease in hot flash frequency with HT compared to placebo. In light of all this research, I generally recommend that my younger menopausal female patients who have bad symptoms, begin HT and use as little estrogen, and if necessary progestogen, as possible. They need to understand, though, that long-term use may increase breast cancer risk and that close follow-up (with yearly mammograms) is necessary. Now to get to acupuncture. Animal and human studies have shown acupuncture can stimulate endorphins and neurotransmitters, including serotonin, that help you feel good. It also may regulate the brain production of nitric oxide, which affects pathways in the brain that are connected to your central thermostat. (In the absence of estrogen this thermostat becomes “upset” and instigates hot flashes.) Now to answer your question: Some studies that have compared acupuncture with sham acupuncture (when needles are used at sites that aren't therapeutic) have found a decrease in hot flashes. Other’s have shown a positive effect with the real thing and less with the “fake” acupuncture. A very recent study, in the illustrious journal Menopause, studied 103 perimenopausal or post-menopausal women who had an average of five or more hot flashes a day. These women were randomized to receive medical or sham acupuncture with twice weekly treatments for five weeks, and then follow-up for seven weeks. No difference was found between the two groups, though both showed an improvement in what was termed their hot flash scores. So, the question remains: When you stick the acupuncture needles close enough to the energy (qi) pathway, is it the acupuncture that affects the hot flashes or is it a placebo effect? Here is where I admit that I don't know, nor do the editors of the journal. In the end, their statement (in the NIH State-of-the-Science Conference on Management of Menopause-Related Symptoms) was that research is needed on non-medical treatments, including complementary and alternative treatment approaches to menopause management. Dr. Reichman’s Bottom Line: We're not sure if acupuncture works to relieve hot flashes, but if you want to try it, go ahead. If it helps, let me know. ---------------------------------------------------------------- 〔訳〕 問:私は52歳の女性です。ほてりが一日中続くんですが、鍼治療は効果があるんでしょうか? 回答: まず、更年期障害のほてりがあるのはあなただけじゃないと言う事をお伝えしておきます。更年期の米国女性の大部分はほてり症状を訴えています。人によってはちょっとだけ汗をかきやすくなったというのもあるでしょうが、そうではなく、一日中ほてりを感じることで日常生活に支障をきたすケースもあって、酷いときには睡眠障害に陥るケースもあるのです。つまり、ほてりと言っても立派な病的レベルになることもあるのです。 ほてり症状の有効な治療方法の一つはホルモン療法です。医療の科学的有効性の有無を確認するのに最適な医学論文比較雑誌にコクランというのがあって、それによると、ホルモン療法を受けた際には受けなかった群と比べて75%もほてりが消退しているという結果が得られています。 こうした数多くの懸賞論文に照らして、私は一般的には比較的若い患者さんでひどいほてり症状がある人に対してホルモン療法を開始することを薦めている。さらに、もし必要であれば出来るだけ少ない寮のエステステロン、プロゲステロンを服用することを勧めている。しかし、その場合でも、長期的にホルモン療法を続けると乳がんの危険性が高まる可能性があることを理解しておく必要があります。また、そのために定期的な乳がん検査を受ける必要があることも伝えておきます。 さて、ここからようやく鍼治療についてです。動物実験や人体実験によって、鍼治療がエンドルフィンや気持ちをやわらげる作用のあるセロトニンといった神経伝達物質の分泌を促すことがわかっています。さらに、一酸化窒素といって中枢温度安定機能とつながっている脳内のある部分に影響を与える物質の生産をコントロールすることもわかっている。(エストロゲンが不足すると、この温度安定機能が作動しなくなり、ほてりが引き起こされるのです。) ここからが質問に対する回答です。ある研究では、鍼治療と偽の鍼治療(鍼が治療効果を持たないといわれているツボに刺される)では、どちらの治療方法でもほてりを減らすことがわかった。しかし、他の研究では、鍼治療のほうが偽の鍼治療よりも効果があることが分かったのです。著名な医学雑誌Menopauseに掲載された最新の研究では、103人の更年期前と平均で一日に5回かそれ以上のほてり症状を持っている更年期後の女性を対象にして5週間にわたって無作為抽出した群に週2回鍼治療を行って、残りの偽鍼治療を受けた群と比較した研究論文が掲載された。結果的に、2つの群で治療効果に差がなく、ほてり症状スコアという症状判定の数値が両方の群で見られたのです。 つまり、では鍼を身体に刺して体の中の「気」を刺激するとして、一体鍼治療というのはほてりに対して有効なのかそれとも単なるプラセボ効果なのか?という疑問が残るのです。正直に言って、ここは私もわかりませんし、医学雑誌の編集者だってわからないのです。最後の砦となるべきNIHによる声明でも、更年期障害の症状管理にとって代替医療も含めて現代医療ではない医療についての研究が必要である、というものなのです。 リーチマン医師の最終見解:われわれは鍼治療がほてり治療に有効かどうかわかっていないのだが、鍼治療によるほてり治療を希望するならば受けてください。そして、もしそれが効いたらぜひ私に知らせて下さい。 「ディ・ラボ最新148号」2007年3月第1週号 ▲戻る
――――――――――――――――――――――――――――――――― “The Do-It-Yourself Spa” Wall Street Journal (subscription), NY - Feb 23, 2007 「ディ・ラボ最新148号」2007年3月第1週号 ▲戻る
する記事の中で、彼がかつて鍼による気胸になったことを紹介: ――――――――――――――――――――――――――――――――― “Janku scales the heights for a living then goes diving for corpses ...” Times Online, UK - Feb 23, 2007 |
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Boston Red Sox pitcher Daisuke Matsuzaka speaks to reporters as he arrives at Tampa International Airport in Tampa, Fla., Monday, Feb. 12, 2007 to attend spring training camp in Fort Myers, Fla. A massage before her dental appointment at The Mitchell Dental Spa in Chicago, Illinois. |
「ディ・ラボ最新147号」2007年2月第4週号 ▲戻る
――――――――――――――――――――――――――――――――― [“Risky alternative?” Guardian Unlimited, UK - Feb 20, 2007] 英国Guardianは、2月20日付の記事で、英国内で鍼治療などの代替医療を 受診する小児患者が増えていることをレポートしました(注)。 (注:メディアによる記事とウェブサイト) “Risky alternative?” Guardian Unlimited, UK - Feb 20, 2007 「ディ・ラボ最新147号」2007年2月第4週号 ▲戻る
選手が鍼治療を受けていることを紹介: ――――――――――――――――――――――――――――――――― “Now that's the way to treat reporters” USA Today - Feb 22, 2007 『本文』 Rhodes played the outfield instead of designated hitter because American Chad Allen felt a twinge in his thigh while running the bases the previous day. Allen reported feeling much better after the team provided some acupuncture treatment. タフィ・ローズは、ランニング中に太ももにうずきを感じた指名打者チャド・アレンの代わりに外野でプレイしている。アレンは、チームサポートによる鍼治療の後の経過は良好だと話してくれた。 「ディ・ラボ最新147号」2007年2月第4週号 ▲戻る
――――――――――――――――――――――――――――――――― “Would you like a foot rub with that filling?” CNN International - Feb 19, 2007 “Would you like a foot rub with that filling?” CNN - Feb 19, 2007 「ディ・ラボ最新147号」2007年2月第4週号 ▲戻る
――――――――――――――――――――――――――――――――― “Sniffles? Why don't you try a holistic hug?” Guardian Unlimited, UK - Feb 17, 2007 “Sniffles? Why don't you try a holistic hug?” The Observer, UK - Feb 17, 2007 「ディ・ラボ最新147号」2007年2月第4週号 ▲戻る
――――――――――――――――――――――――――――――――― “Favorite books on alternative medicine” Boston Globe, MA - Feb 19, 2007 「ディ・ラボ最新146号」2007年2月第3週号 ▲戻る
――New York Timesの影響力 ――――――――――――――――――――――――――――――――― [“Medical Regimen Keeps Racers Fresh” New York Times, NY - Feb 9, 2007、 “A Chance to Choose Hospice, and Hope for a Cure” New York Times, NY - Feb 9, 2007] 米国New York Timesは、2月9日付の2つ記事で、鍼治療が米国社会で活用されている事例を紹介しました(注)。 (注:メディアによる記事とウェブサイト) “Medical Regimen Keeps Racers Fresh” New York Times, NY - Feb 9, 2007 “A Chance to Choose Hospice, and Hope for a Cure” New York Times, NY - Feb 9, 2007 「ディ・ラボ最新146号」2007年2月第3週号 ▲戻る
――――――――――――――――――――――――――――――――― http://news.google.co.jp/news?hl=en&ned=us&ie=UTF-8&scoring=d&q=acupuncture+matsuzaka 「ディ・ラボ最新145号」2007年2月第2週号 ▲戻る
――日本の「鍼灸(師)」が「医療(者)」としてつけなければいけない“実力”の縁(よすが) ――――――――――――――――――――――――――――――――― [“Alternative therapy put on trial” BBC News, UK - Feb 4, 2007] 英国BBCは、2月4日付の記事で、英国北アイルランドの一部の地域で鍼治 療などの代替医療を試験的にNHS(英国国民保険)の保険適用を開始する ことを伝えました(注)。 (注:メディアによる記事とウェブサイト) “Alternative therapy put on trial” BBC News, UK - Feb 4, 2007 「ディ・ラボ最新145号」2007年2月第2週号 ▲戻る
した治療方法が紹介される ――――――――――――――――――――――――――――――――― Stem-Cell Refugees BusinessWeek - Feb 4, 2007 「ディ・ラボ最新144号」2007年2月第1週号 ▲戻る
[“Alternative medicine rarely discussed with doctors” Reuters - Jan 26, 2007 “Alternative medicine rarely discussed with doctors” Reuters.uk, UK - Jan 26, 2007] 米英のロイターは、1月26日付の記事で、全米高齢者の6割以上が何らかの代替医療を受けていて、そのうちの3人に1人しかそのことを主治医や西洋医療の医師と話し合っていないという調査レポートについて紹介しました(注1)。 記事では、AARPというNPOとNIHの下部組織であるNCCAMが全米の高齢者 1559人を対象に2006年に行った実態調査で、「多くの米国高齢者が代替医療を使っている」「それにもかかわらず、医師と患者の間で代替医療の活用について充分に話されていない」という結果が得られたことを詳 しく伝えています。 そして、「代替医療の利用状況を医師と患者で話し合うことで、より有益な西洋医療と代替医療との組み合わせの実現が可能になり、さらに、 お互いの効果が打ち消しあう危険性を減らせる」のであり、今回の結果 のような「情報の共有が出来ていない状態を改善する必要がある」と調 査レポートが示唆していることが伝えられています(注2)。 今回の記事は、米国では患者さんの考える「医療(者)」の枠組みに鍼灸などがすでに入ってしまっていて、そうして実際に代替医療などの新 しい「医療(者)」が既存の「医療(者)」に組み込まれた後にお互いの「医療(者)」の臨床の実力を充分に発揮させていくためには、医師と患者さんの間でまずは利用の状況を共有していくべきだという調査レポートを伝えるものです。 日本の「鍼灸(師)」が「医療(者)」として現在の枠組みに入るため にはどうするべきなのかを考えなければいけないと話しているときに、 今回の記事は、米国はその先の課題について話題にしているということ になります。 米国で鍼灸などの代替医療が「医療(者)」の枠組みに入ることになった実際のドライバー(促進要因)には様々な問題があるかもしれません が、米国の「鍼灸(師)」の側が現在もそれに応えるだけの“実力”を 持っている、またさらに「医療(者)」として必要とされる“実力”を発揮し続けていることだけは確かです。 米国「鍼灸(師)」の“実力”とは、臨床研究の多さや鍼灸の特性に応 じた形での鍼灸医療サービス提供ビジネス展開の多さなどがそれに当たりますし、今回の調査をはじめとして多くの実態調査で明らかになっているように、米国でかなりの数の人たちが鍼灸をはじめとする代替医療を受けていることこそが、米国「鍼灸(師)」にさらなる“実力”をつけさせているのです。 日本の「鍼灸(師)」は、実際に数千年にもわたる伝統があってこちらが「鍼灸の本家だ」といっても「医療(者)」の枠組みにも入れてもらえない程度でしかない限りは、米国の「鍼灸(師)」のほうが“実力” が上だと認めざるをえません。 一旦日本の外の“実力”を認めてそれを真似ることから始めたとしても、 世界の中で日本の「鍼灸(師)」がその独自性を守ることも、正当性を主張することもできるようになるということは、明治維新以降の「日本」 が立派に実証しているのではないでしょうか。 (注1:メディアによる記事とウェブサイト) “Alternative medicine rarely discussed with doctors” Reuters.uk, UK - Jan 26, 2007 “Alternative medicine rarely discussed with doctors” Reuters - Jan 26, 2007 『本文』 ---------------------------------------------------------------- NEW YORK (Reuters Health) - Most Americans age 50 and older use complementary and alternative medicine (CAM), such as herbal pr oducts or acupuncture, often unbeknownst to their doctor, acco rding to a survey conducted by AARP and the National Center for Complementary and Alternative Medicine. It's in patient's best interest to tell their doctor about the CAMs they're taking, experts say, because some alternative med icines may interfere with over-the-counter medications, prescr iption drugs, or other conventional medical approaches. "Communication between patients and physicians about CAM and conventional therapies is vital to ensuring safe, integrated use of all health care approaches," the report states. An open dialogue "allows patients and physicians the opportuni ty to identify CAM practices that might be beneficial and also minimizes risks to a patient from potential therapy interactio ns." Among a total of 1,559 individuals age 50 and older surveyed in the spring of 2006, 63 percent reported having used one or more CAM therapies. Sixty-nine percent of those who reported using CAM had not dis cussed it with a doctor. Why? Forty-two percent said because their doctor never asked; 30 percent said they did not know th ey should; 19 percent felt there was not enough time during the office visit; 17 percent didn't think the doctor would know ab out the topic; and 12 percent thought the doctor would be dism issive or tell them not to use CAM. Women were more likely than men to have discussed CAM use with their doctor (26 percent vs 16 percent) and those younger than age 65 were more likely to discuss CAM use than were older ind ividuals. The bottom line, the report concludes, is that "patients need to mention CAM use to their physicians and physicians need to ask about it." AARPとNCCAMによる最新の調査によると、50代以上のアメリカ人の多く はハーブや鍼治療といった代替医療を活用しているが、そのことを自分の主治医に伝えたり相談したりすることはないという結果が明らかになった。 専門家によると、患者が使っている代替医療を医師との間で話し合っ たりすることはとても大事なことであると言う事だ。なぜなら、代替医療の中には患者が行っている西洋医療の治療、処方薬、市販薬の効果と干渉する場合があるからだ。 今回の調査レポートでは、代替医療をめぐる患者と医師との間の話し合いは安全性を確保するため、また、すべての医療を正しく統合して 用いるために必要不可欠である、と結論付けている。 医師と患者がよく話し合うことで「医師患者共により効果的な代替医療の種類について話し合う機会を持てるようになるだけでなく、お互いに効果を干渉したり阻害しあうような組み合わせを避けることが出来る」とも述べている。 今回調査対象となった1559人の50歳以上のアメリカ人のうち、63%が何らかの代替医療を受けていると答えている。そして、そのうちの約69%が医師とその代替医療の活用について話し合っていないと答えてい るのだ。 それはなぜか?この問いに対して、42%の人が医師が代替医療の活用 について聞いてこなかったからと答え、30%が医師に話をしなくてはいけないと言う事を知らなかったためと答え、19%が診察時に充分な時間がなかったからと答え、17%が医師が代替医療についての知識があると思わなかったからと答え、12%がそのことを医師に話すと代替医療を使うなというと思ったからと答えている。 男性に比べて女性のほうが代替医療について医師と話し合う機会を持っており、65歳以下の女性はそれ以上高齢の女性に比べて医師と話していると言う事もわかった。 そのレポートの結論では、大事なことは「患者は代替医療の活用を医師と話す必要があり、医師は患者に代替医療の活用について聴く必要 がある」と言う事であると述べている。 ---------------------------------------------------------------- (注2:レポート本文はこちらから) http://assets.aarp.org/rgcenter/health/cam_2007.pdf ディ・ラボ最新144号」2007年2月第1週号 ▲戻る
「老人性痴呆による精神分裂病様の症状を指圧療法によって改善できる」とする臨床研究論文結果を報道 ――――――――――――――――――――――――――――――――― “Acupressure May Help Dementia Patients” Forbes, NY - Jan 26, 2007 “Acupressure helps with dementia agitation” United Press International - Jan 22, 2007 “Acupressure may ease dementia patients' agitation” Reuters.uk, UK - Jan 31, 2007 (論文出典とアブストラクトリンク) Man-Hua Yang, Shiao-Chi Wu, Jaung-Geng Lin, Li-Chan Lin. (2007) The efficacy of acupressure for decreasing agitated behaviour in dementia: a pilot study. Journal of Clinical Nursing 16 (2), 308-315. doi:10.1111/j.1365-2702.2006.01428.x http://www.blackwell-synergy.com/doi/abs/10.1111/j.1365-2702.2006.01428.x ディ・ラボ最新144号」2007年2月第1週号 ▲戻る
――――――――――――――――――――――――――――――――― “Chinese Herb May Lower High Blood Pressure” Washington Post, DC - Jan 30, 2007 “Chinese Herb May Lower High Blood Pressure” Forbes, NY - Jan 30, 2007 ディ・ラボ最新144号」2007年2月第1週号 ▲戻る
◎英国主要メディアが英国で発効する「鍼灸などの代替医療従事者による セクハラ防止指針」について紹介 ――――――――――――――――――――――――――――――――― “Crackdown on therapists who abuse vulnerable” The Observer, UK - Jan 27, 2007 “Crackdown on therapists who abuse” Guardian Unlimited, UK - Jan 29, 2007 |
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ディ・ラボ最新137号」2006年12月第2週号 ▲戻る
――鍼灸治療の最先端研究者からの警句 [“Complementary medicines are useless and dangerous, says Britain's foremost expert” Daily Mail, UK - Dec 12, 2006] 英国Daily Mail紙は、12月12日付の記事で、代替医療研究の世界的権威であり、英国における第一人者でもあるエクスター大学教授エザード・ アーンスト博士の「科学的検証が出来ない代替医療は医療としてはまやかしである」という持論を紹介するなかで、博士が「鍼治療は科学的根拠がある」という認識を示していることを伝えました。(注) 記事では、アーンスト博士の主張を詳しく紹介する形で、鍼治療やマッサージ、ホメオパチーといった、それぞれの具体的な代替医療について、 科学的検証の取り組み内容や結論、それに対する博士の考え方を解説しています。 その上で、「鍼治療の痛み(腰痛)に対する効果」や「マッサージの心の問題に対する効果」などについて、博士は効果の可能性を信じるに充分な科学的な知見があるという認識を持っていることが示されています。 これまでもアーンスト博士の「代替医療はその有効性を科学的に証明しなければいけない」という主張は大きくマスメディアで取り上げられて いますが、その内容は一貫してブレがありません。 代替医療の最大の理解者(擁護者)であり最先端の医学研究者であるエザード博士だからこそ、「証拠のない代替医療はニセモノ医療である」 と喝破しているのであり、その裏には、他の誰よりも代替医療の可能性 を強く信じる気持ちがあることが想像できます。代替医療の中には「医療」として評価されうるものが必ずあると信じている博士にとって、いまの代替医療を再評価する世の中の流れによって 代替医療が一過的なブームに終わってしまうことが最も避けたい結果なのです。 その意味では、代替医療を「医療(者)」として昇華させるためには科学的知見を積み上げていこうというこの主張は、非常に説得的でもあります。社会からの後押しに対して安易に迎合せずに科学的検証という茨の道を進むという踏み絵を踏めるのかどうかによって、鍼灸をはじめとする代替医療(の関係者)が「医療(者)」化できるかどうかが決まるのだと博士は言っているのです。 (注:メディアによる記事とウェブサイト) “Complementary medicines are useless and dangerous, says Britain's foremost expert” Daily Mail, UK - Dec 12, 2006 ”「代替医療は役に立たなくて危険である」英国最前線の代替医療研究者が指摘” http://www.dailymail.co.uk/pages/live/articles/health/healthmain.html?in_article_id=422017&in_page_id=1774&in_a_source= <訳> 「役に立たない」、「危険である」、そして「まやかしである」。これは、英国代替医療研究の第一人者による代替医療に対する評価である。 その研究者は、「多くの代替医療の効果はなく、危険である可能性もある。また、がん治療に効くといわれている代替医療の中には、犯罪でないとしたら重大な過失といえるくらいの危険性すらある」とも述べている。 代替医療に対するこういった見方を示しているのは、いわゆる古い時代の教育を受けた医師などではなく、なんとエザード・アーンスト博士という英国代替医療の第一人者である。アーンスト博士といえば、誰もが代替医療の最大の擁護者だと思うかもしれない、その人である。 現在英国内では代替医療に対するブームが巻き起こっている。一般社会で起こっているだけではなく、医学界でも同様のブームがあるのだ。先週発表された調査結果では、60パーセントにお及ぶスコットランドの医師は患者さんをホメオパチーや漢方薬治療に紹介しているというのだ。 アーンスト教授は、しかしながら、そのホメオパチーに対して手厳しく評価している。その効果に対する科学的知見もなければ、それを規制しようとしていないというのだ。 彼にとって「奇跡的な」治療や「治った」という証言は全く意味を成さない。彼にとって最大の判断基準は科学的試験をパスしたかどうかだけである。科学的検証とは、通常、二重盲検のプラセボコントロールが行われた実験のことであり、これにパスした治療方法だけが医療と認められるというのだ。 鍼治療は、その点で彼の基準を満たすだけの科学的検証がある。多くの治療家が言うようなエネルギーの流れとは全く関係なく、痛み、特に腰痛にとって有効であると科学的に検証されたのだ。アーンスト博士は「鍼治療は物理療法的に働くことで効果があるのであり、陰陽などとは全く関係ない」と述べる。 マッサージ治療も同様にアーンスト博士の基準を満たす「医療」である。マッサージ治療は、便秘、腰痛、不安、うつ、ストレスに対して「かなりの可能性で」効果がある。 さらに、すべてではないにせよ漢方薬治療も科学的知見という基準に合格している。さまざま特定の疾患に対する効果が証明されているのだ。 しかし、殆んどの代替医療については科学的検証結果が伴っていない。例えば、Independent Nurseなどの商業雑誌に載っている治療方法については全くといっていいほど、彼は認めていない。 そのうちの一つが、「背骨矯正術」、特に「カイロプラクティック」である。彼いわく、整体師やカイロプラクターによって施されている背骨矯正術は、運動療法などの他の治療法に対して優れた治療効果があるという科学的検証がない。それよりも、むしろ心臓発作などの危険な副作用の危険性すらあるというのだ。 「アロマ療法」についてもプラセボ効果以上の信頼できる効果についての検証結果が殆んどないというのだ。世の中では、彼が言うところの病気には使ってはいけない、「リフクレクソロジー」に傾倒している人もいる。そんなこともあり、代替医療界でのアーンスト博士の評判というのはすこぶる悪い。施術者の集まりなどで彼の名前が出るだけで部屋中が凍りついたという話もあるくらいである。英国鍼協会のロン・ビショップ氏はアーンスト博士は施術者にとって好ましからざる実験結果を導き出しているために代替医療界では評判が悪いと証言する。 「彼は、かつて実験によって鍼治療が禁煙に効果がないことを証明してしまった。日々臨床で禁煙に取り組んでいる患者さんを相手にしている鍼師にとってみれば、ちょっとやるせない気持ちになるのも分かるでしょう」とビショップ氏は述べる。 代替医療界でははやり代替医療は危険性もありうるというアーンスト博士の考え方に対しても眉をひそめる向きが多い。博士はかつて始めて中国製の漢方薬に危険な成分が含まれていることを分析して世の中の注目を集めた。また、むやみに骨を矯正するカイロプラクティクスや間違った場所に鍼を刺鍼する危険性についても同じである。 エクスター&プリマス大学Peninsula医学部の代替医療学教授であるアーンスト博士は、「多くの代替医療支持者はこの結果に驚き戸惑ったであろう。なぜなら、彼らの頭には、西洋医学は副作用があって恐ろしいもので代替医療にはそれがない、という固定観念があったからだ。」と述べている。 「しかし、われわれはこの固定観念を打ち砕くような実験結果を多く発表した。われわれが実験をしている13年間に危険性のために多くのことが禁止されるようになった。」 治療家たちにしてみれば、彼が多くの代替医療の排斥してきた時間を代替医療の規制作りに向けてきていたらよかったのにと考えている。 なぜなら、現在58歳のアーンスト博士は代替医療界では唯一そのような役割を政府で果たせる可能性があるとメディアが伝えているからだ。 かつて、彼はオーストリアのウィーンで物理療法とリハビリテーションの学科長を務めていた。そこでは、120人の部下を持ち、高給と地位を確立していた。彼は、医師であり、ホメオパチー、鍼治療、マッサージ治療、背骨治療の教育も受けている。 しかし、1993年、その地位をなげうってエクスターの現在の教授というポストについたのである。彼いわく、それは「心の声に導かれた」というのである。 それ以来、彼の学部では1000以上もの研究論文を発表し、多くの先進的な研究を行って世界の代替医療研究に新しい実験知識をもたらしたのだ。 アーンスト教授やそのグループでは、この6月に代替医療の長編ガイドブック「Desktop Guide To Complementary And Alternative Medicine: An Evidence Based Approach」を上梓した。 「科学的手法をも代替医療に持ち込むことは火と水を混ぜるようなものである。」「しかし、それでしか証明する方法はないのだ。これまでも代替医療は一過的に人々に受け入れられたりしたこともあったが定着してこなかった。それは、信頼ある証拠を重ねることでしか乗り越えられない。科学的知見があれば、二度と代替医療が廃れることはない。」「科学的検証がなければ、チャールズ皇太子のような絶対的な擁護者が消えると、代替医療も消滅する。従って、その意味では私は自分で代替医療の最大の擁護者だと思えるのだ。」と博士は述べる。 チャールズ皇太子には科学的検証を擁護する義務があるのではないかという議論もあるが、この点に関してアーンスト博士は、「チャールズ皇太子は科学的アプローチを「驚くほど」忌避すると言う事だ。もし彼が科学的検証を拒否し続けたとしたら、彼の時代のうちに代替医療が廃れてしまうはずだ。」と述べる。 しかしながら、治療家は、もともと個人の全身的な症状によって診断治療が行われる代替医療を、現代医学の検証法である科学的検証手法によって証明しようとすることに対して批判を行っている。 このような実験では、普通、本物の薬とニセモノの薬を無作為に抽出した患者さん群に配ることで、その効果を比べるというのものだ。一般的に、実験者も被験者も誰がどちらの薬を飲んでいるのかわからないようになっている。最後にそのことが知らされ、その効果が比べられるのだ。 代替医療の施術者は、鍼治療やホメオパチーのような症状ではなく全身的な状態に対して治療をおこなう医療において、どのようにこの科学的検証方法を適応するべきなのか、適応できるのかどうかについて疑問が呈されているのだ。 アーンスト教授は、これに対して確かに厳密なランダム化試験はすべての代替医療の効果を確かめる実験には向かないかもしれないが、何とかしてこの壁を乗り切る実験手法についてもかなり研究を進めていると述べている。 最後にアーンスト教授は述べる。「必ず実験する方法は見つかる」「その実験方法では、全身治療だって全身性という側面を持った治療法の検証も可能である。それを信じて、進んでいくしかないのだ。たとえ困難であっても。」 ---------------------------------------------------------------- ディ・ラボ最新137号」2006年12月第2週号 ▲戻る
――――――――――――――――――――――――――――――――― “What can I do to beat afternoon sugar cravings?” Daily Mail, UK - Dec 12, 2006 http://www.dailymail.co.uk/pages/live/articles/health/dietfitness.html?in_article_id=421897&in_page_id=1798 ディ・ラボ最新137号」2006年12月第2週号 ▲戻る
――――――――――――――――――――――――――――――――― “Most Luxurious Places To Dry Out” Forbes, NY - Dec 11, 2006 http://www.forbes.com/lifestyle/2006/12/11/rehab-drugs-alcohol-forbeslife-cx_avd_1212dryout.html ディ・ラボ最新137号」2006年12月第2週号 ▲戻る
――――――――――――――――――――――――――――――――― “Paws for thought” Times Online, UK - Dec 8, 2006 http://www.timesonline.co.uk/article/0,,8125-2492462,00.html ディ・ラボ最新137号」2006年12月第2週号 ▲戻る
――――――――――――――――――――――――――――――――― “Q&A: What really happened” BBC News, UK - Dec 8, 2006 http://news.bbc.co.uk/2/hi/programmes/6162121.stm ディ・ラボ最新136号」2006年12月第1週号 ▲戻る
[“Fairley and the chocolate factory” Times Online, UK - Dec 1, 2006] [“Second Thoughts About Red Meat” Washington Post, United States - Nov 29, 2006] 米国と英国を代表するメディアであるTimesとWashington Postは、それぞれ12月1日付、11月29日付の特集記事で、米英両国内で有名人と言われ る人たちがライフスタイルの中に鍼治療を取り入れて健康管理を行って いることを紹介しました(注1)。 今回は最近欧米メディアでとみに増えている「有名人と鍼治療」の記事 の持つ意義について考えてみたいと思います。 詳しい内容は下にある本文を参照いただくとして、今回の記事では、全体としては鍼治療などと直接関係ないコンテクストですが、いずれもその効果や特徴を踏まえた形で自身の人生に鍼治療が上手く取り入れられ ていることが分かります。 今回のまずひとり目の有名人は、英国オーガニック食品会社「Green & Black's」創始者であり、美容雑誌ジャーナリストの重鎮でもある作家 ジョセフィーヌ・フェアリーさんです。 記事では、彼女が、忙しい生活の中でも鍼治療やマッサージなどの代替医療を長い間定期的に受けることで健康を維持していることを紹介しています。 また、フェアリーさん自身のこの体験から、健康を中心としたライフスタイルを提案している「Green & Black's」社の事業の一環として、代替医療を提供する健康美容施設を経営していることも紹介しています。 ふたり目の有識者は、米国の料理研究家としてWashington Post紙にコラムを書いたり、料理に関する書籍も出しているパム・アンダーソンさ んです。 彼女は、今回のエッセーで、自身が3年前に子育てを終えていわゆる子育て中心の主婦から一念発起して現在のキャリアを達成するにいるまでの過程で、鍼治療を用いて体重管理や体調管理に成功したことを紹介しています。 さらに、Dラボ133号でも、アカデミー賞映画監督アンソニー・ミンゲラ氏が鍼治療を中心とした代替医療を体調管理に用いることで、忙しいス ケジュールの中で甲状腺ホルモン分泌異常という持病を抱える身体が「 病気になる手前の異常信号を発している時」に対処できていることを紹介しています(注2)。 また、ミンゲラ氏はこの経験を踏まえた上で、「西洋医学は病気になった時、代替医療は病気になる前の危険信号の時に、という風に上手く組み合わせてそれぞれの医療を活用できるような医療システムが望まれる」 とまで述べています。 一般に知識レベルが高い人のほうが鍼治療に対する理解度や治療効果が高いといわれています。 それは、鍼灸の機序というのが目に見えにくい、現代の科学的常識では解明できない部分が多いため、ある程度の創造性やイマジネーションがその理解に必要であるからとも、保険でカバーされていないいわゆる高額の医療であるために必然的にその恩恵を受けられるのが知識レベルが高く所得が高い人に限られるからであるからとも言われています。 しかし、いずれにしても、この点は、有識者リレーションによって世の中全体の鍼灸の正確な理解や認知、また、需要度を上げていく取り組みにおいては、非常に有利であるといえます。 つまり、有名人の鍼灸に対する壁は低い可能性があるわけですし、もしかすると、愛好家であったりする可能性があるということは、鍼治療のオピニオンリーダー・マーケティングを効果的に、効率的に進める大きな要因になります。 これだけ世界の有識者における鍼灸の受容度が高くなっていること、鍼 灸という有名人にこそ分かってもらえる良さを持つという上述の特性な どを踏まえれば、日本発の日本の「鍼灸(師)」による、日本の「鍼灸 (師)」のための有識者マーケティングが成功する可能性も高いと思え ます。 社会に意図的に働き掛けを行おうとする主体(政府、企業、その他)の リーダーが、有名人を動員してこの種の戦略的マーケティング活動を行 うことはかなり一般的であり、実際それによって大きな成果を挙げてい る例も枚挙に暇がありません。 従って、日本の鍼灸師から付託を受けているわれわれのリーダーが、世界的な“追い風”を背景にして、意図的戦略的にオピニオンリーダに働 き掛けることは喫緊の課題であり、それによって日本の「鍼灸(師)」 の認知、需要が拡大する可能性がかなりあるといえます。 (注1:メディアによる記事とウェブサイト) “Fairley and the chocolate factory” Times Online, UK - Dec 1, 2006 http://www.timesonline.co.uk/article/0,,8123-2480183,00.html 『本文』 ---------------------------------------------------------------- Beauty author and eco-activist Josephine Fairley, the creator of Green & Black's, is as fond of the high life as of her orga nic vegetable patch On alternative health, she admits that neither she nor Sams is an expert: “To run our health centre, we’re going to have a team of advisors on board.” But she’s had plenty of experien ce as a patient. She has regular massage, reflexology and acup uncture to de-stress and ward off annual bouts of bronchitis. A lifelong yoga fanatic, such is her belief in complementary ( she prefers the word to “ alternative”) medicine that she has visited a GP only once in the past 18 years, and that for a sk iing-related knee injury. “Health is a proactive thing and we all have to take charge of our own, before something goes wrong, not after,” she says. (訳) 美容に関する著者であり、環境運動家であるジョセフィーヌ・ファア リーさんは、Green & Black'sの創始者でもある。その彼女は、夜の華々しい生活も、オーガニック野菜を育てる小さな畑にいる生活も両方とも愛しているのだ。 代替医療に関しては、彼女はビジネスパートナーでもあるサムともに 専門家ではないことを認めている。「健康美容施設を運営するに当っては専門家集団をアドバイザーとして組み入れている」と述べている。 しかしながら、自分自身は患者として代替医療を実際に生活に取り入れて暮らしている一人であるのだ。定期的にマッサージやリフレクソロジー、鍼治療を受けて、ストレスを軽減したり、気管支炎の予防を しているのだ。 ヨガに関しては既にかなりのキャリアを持ち、こういった代替医療を 取り入れた生活のおかげで、医者に行ったのは過去18年でスキーで膝を怪我したときだけである。彼女は、「健康というのは前向きに予防 していくものであり、病気になる前に手当てをしておかなければいけ ないものである」と述べている。 ---------------------------------------------------------------- “Second Thoughts About Red Meat ” Washington Post, United States - Nov 29, 2006 http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2006/11/28/AR2006112800273.html『本文』 ---------------------------------------------------------------- Three years ago, when I turned 46 and my younger daughter head ed off to college, the extra time in the empty nest forced me finally to look at myself honestly. I didn't like what I saw. Years of trying to balance a food career with marriage and mot herhood had left me overweight, out of shape and unhappy. I had two choices. I could stay miserable or change. Through acupunc ture and therapy, I healed physically and emotionally. I natur ally started eating less and exercising more. Over time I shed 45 pounds. Last spring I went to the doctor for my biannual physical. He was astounded at my pre- and post-weight loss stats: cholester ol, bone density, C-reactive protein (a heart disease indicato r), all dramatically improved. (訳) 3年前、46歳になって子どもたちがふたりとも大学に行くようになって、 多くの時間が出来た。このことで、改めて自分自身を一人の人間として、女性として見直さなければいけない状況になった。そのとき、はじめて自分自身が好きではないことが分かった。主婦としての生活 に明け暮れたおかげで、見るも無残に体重が増えて、明らかに健康的 な美しさにかけていたのだ。それでは、幸せな気持ちになんかなれるはずがない。その時点で、私には2つの選択肢しかなかった。変わるのかそれともこのまま無残なままでいるのか。結果的に、私は変わることを選んだ。鍼治療と心理カウンセリングのおかげで肉体的にも 精神的にも癒された私は、自然と健康的に食を減らすようになったし、 運動もするようになった。その結果、45ポンドも体重が減った。 この春に定期健診に行ったところ、医師は体重が減った前と後の色々な検査数値の違いに驚いていた。コレステロール、骨密度などすべての値が大きく改善していたのだ。 ---------------------------------------------------------------- (注2:アンソニーミンゲラ監督を特集したTimes紙の記事) “The English patient” Times Online, UK - Nov 10, 2006 ディ・ラボ最新136号」2006年12月第1週号 ▲戻る
――――――――――――――――――――――――――――――――― “Making that smile a little brighter” Boston Globe, United States - Nov 30, 2006 |
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ディ・ラボ最新134・135号」2006年11月第4・5週号 ▲戻る
――――――――――――――――――――――――――――――――― Reutersは、11月28日付の記事で、スウェーデンの研究グループが行った鍼治療などの痛み止め薬以外の代替医療による緊張型偏頭痛の治療効果を検証した論文の結果を紹介しました(注1)。 (注1:メディアによる記事とウェブサイト) “Tension headaches eased with acupunture, exercise” CNN - Nov 28, 2006 “Tension headaches eased by therapy without drugs” Reuters.uk, UK - Nov 28, 2006 “Tension headaches eased by therapy without drugs” Reuters - Nov 28, 2006 (注2:論文出典とアブストラクト・リンク先) Soderberg E, Carlsson J & Stener-Victorin E. Chronic tension- type headache treated with acupuncture, physical training and relaxation training. Between-group differences. Cephalalgia 2006; 26:1320?1329. ディ・ラボ最新134・135号」2006年11月第4・5週号 ▲戻る
――――――――――――――――――――――――――――――――― “Acupuncture point standard nailed down” The Japan Times, Japan - Nov 28, 2006 ディ・ラボ最新134・135号」2006年11月第4・5週号 ▲戻る
詳しく解説: ――――――――――――――――――――――――――――――――― “Point Taken” Boston Globe, United States - Nov 25, 2006 ディ・ラボ最新134・135号」2006年11月第4・5週号 ▲戻る
鍼治療」特集−−マーケットの到来を確信 ――――――――――――――――――――――――――――――――― “Acupuncture, aromatherapy available for Rover and Kitty” CNN - Nov 21, 2006 “More vets turning to alternative pet care” MSNBC - Nov 20, 2006 “Vets Turn to Acupuncture for Ailing Pets” CBS News, NY - Nov 20, 2006 “Vets Turn To Acupuncture For Ailing Pets” Guardian Unlimited, UK - Nov 20, 2006 “Vets Turn to Acupuncture for Ailing Pets” FOX News - Nov 20, 2006 “Vets Turn to Acupuncture for Ailing Pets” Los Angeles Times, CA - Nov 20, 2006 “Vets Turn to Acupuncture for Ailing Pets” Forbes, NY - Nov 20, 2006 “Vets Turn to Acupuncture for Ailing Pets” Washington Post, United States - Nov 20, 2006 “Some US veterinarians turning to acupuncture, other alternative ...” International Herald Tribune, France - Nov 19, 2006 ディ・ラボ最新133号」2006年11月第3週号 ▲戻る
――――――――――――――――――――――――――――――――― 英国Times紙は、11月10日付の記事で、鍼治療などの代替医療を積極的に活用している英国人映画監督アンソニー・ミンゲラ氏を取り上げて、彼がなぜ代替医療を必要としているのか、どのような代替医療を活用しているのかについて詳しく紹介しました(注1)。 (注1:メディアによる記事とウェブサイト) “The English patient” Times Online, UK - Nov 10, 2006 ディ・ラボ最新133号」2006年11月第3週号 ▲戻る
――――――――――――――――――――――――――――――――― “Healing Chronic Pain” ABC30.com, CA - Nov 16, 2006 ディ・ラボ最新133号」2006年11月第3週号 ▲戻る
(ニュース映像あり): ――――――――――――――――――――――――――――――――― “Acupuncture used to treat infertility” WFAA, TX - Nov 8, 2006 ディ・ラボ最新132号」2006年11月第2週号
――もう一度見直すべきその意義と意味 ――――――――――――――――――――――――――――――――― 米国Washington Post紙は、11月4日付の記事で、人材・求人面のキャリ ア紹介として自然療法医師という米国に独特な医師の資格を取り上げて、 実際の自然療法師のインタビューなどを通じて、キャリア・パスや職種 の内容や実態を解説しています(注)。 (注:メディアによる記事とウェブサイト) “Practicing Medicine, With a Natural Approach” Washington Post, United States - Nov 4, 2006 ディ・ラボ最新132号」2006年11月第2週号 ▲戻る
気に効く」として鍼治療を紹介: ――――――――――――――――――――――――――――――――― Cure for cancer born from the horrors of Ypres Times Online, UK - Nov 7, 2006 ディ・ラボ最新131号」2006年11月第1週号
――日本の「鍼灸(師)」は「医療(者)」になりうるのか ――――――――――――――――――――――――――――――――― 英国Timesなどの欧米メディアは、10月29日から11月2日付の各記事で、医学雑誌「Arthritis & Rheumatism」最新号に掲載された「鍼治療の関節炎の痛みと運動制限に対する効果に関する科学的検証」論文の結果を紹介しました(注1)。 この研究は、関節炎による痛みや運動制限に対して鍼治療が効果を持つのかどうかを検証しようというものです(注2)。 (注1:メディアによる記事とウェブサイト) “Acupuncture 'cuts arthritis pain'”Times Online, UK - Oct 29, 2006 “Acupuncture 'cuts arthritis pain'” The Sunday Times, UK - Oct 30, 2006 “Acupuncture, Turmeric May Help Ease Arthritis” CBC News, Canada - Oct 30, 2006 “Acupuncture, Turmeric May Help Ease Arthritis” Forbes, NY - Oct 30, 2006 “Acupuncture May Cut Arthritis Pain” FOX News - Oct 31, 2006 “Analysis: Ancient medicine useful today” United Press International - Nov 2, 2006 【記事内容】 鍼治療によって関節炎が原因となる痛みや動作の制限などが緩和される可能性がある、ということがドイツで行われた研究によって明らかになった。 これまでの鍼治療の痛みに対する効果の臨床試験でも効果があるという結果が出ていたが、規模が小さかったりプラセボ効果によって有効性が得られたのではないかと言う疑いに応えることが出来ないようような実験デザインのものが多かった。 しかし、今回行われたドイツの実験では、3ヶ月ずらして鍼治療を受けた2つの群を比較することでその効果を確認した。一つ目の群の対象患者さんは357人で、二つ目の対象患者さんは355人の関節炎患者であった。この研究結果は、最新号の医学雑誌「Arthritis & Rheumatism」に掲載されている。 治療効果は、痛み、可動域制限、動作などを計測して病状を測定する基準「WOMAC」を用いて計測された。治療開始時の値は、約50であった。 最初の3ヶ月後の15回の治療が終わった段階で測定したところ、鍼治療を受けた患者はこの値が30になっていたが、まだ鍼治療を受けていない患者の群では、その他対は、50のままであった。 調整処理をした数字では、36%の治療効果があった事になった。 一方、3ヵ月後から治療を開始する群では、治療開始から3ヵ月後、つまり、すべての実験から6ヵ月後には、同様の治療効果の値を示した。 そしてすべての群で、鍼治療と同時に現代医療による治療も続けられていた。 今回の研究を主管したベルリンCharite大学医学部クラウディア・ウィット博士は、論文の結論で、主に抗炎症剤の投与を行っている現代医療の治療に鍼治療を付加したところ、臨床的に意義のある継続的な有効性が得られた、と述べている。 しかしながら、今回の結果も完璧な実験デザインにはなっていない可能性も残っている。というのも、実験が二重盲検試験ではなく、また、鍼師の経験の差によって効果に全く差がないということが起こっているからだ。つまり、経験の浅い鍼師による治療は経験の多い鍼師の経験と同じはずがないということである。中国・吉林大学で中医学を教えているトウ・リウ氏とチェン・リウ氏も、「鍼師の経験以上に重要な要素はない」と述べている。 しかしながら、今回の実験が鍼治療の有効性をより一歩深く証明したことには違いなく、その作用については未だに証明されていないが、鍼治療を活用した痛み治療を広めることに寄与することは間違いない。 伝統的に、英国に比較してドイツでは、医師が代替医療に対して強い期待感を持っている。しかしながら、英国でも鍼治療は近年次第に一般的に行われるようになってきており、病院の理学治療部門では鍼師による治療が行われるようになっている。 (注2:論文出典) Witt, C., et al. Acupuncture in patients with osteoarthritis of the knee or hip: A randomized, controlled trial with an additional nonrandomized arm. Arthritis & Rheumatism, November 2006; vol 54: pp 3485-3493. Liu, T. Editorials: Acupuncture for treating osteoarthritis of the knee and the hip. Arthritis & Rheumatism, November 2006; vol 54: pp 3375-3377. ディ・ラボ最新131号」2006年11月第1週号 ▲戻る
――――――――――――――――――――――――――――――――― “Crossing the great divide in medicine” Scotsman, United Kingdom - Nov 2, 2006 ディ・ラボ最新131号」2006年11月第1週号 ▲戻る
よる治療の特集で現状や背景などを詳しく紹介: ――――――――――――――――――――――――――――――――― “Cancer patients desperate for options” Chicago Tribune, United States - Oct 30, 2006 ディ・ラボ最新131号」2006年11月第1週号 ▲戻る
実際の成功事例を紹介しながらその効果を詳しく解説: ――――――――――――――――――――――――――――――――― “‘I won’t blame myself if I know I’ve tried everything’” The Herald, UK - Oct 29, 2006... Unwilling to swallow fertility drugs |
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